遭難信号(7章) 7章32話「神騎士団」、帝国二人組が帰国した後の事。 レッド「なぁ、もしグレイ達が救助に来なかったらどうしてた?」 マリア「そうね……船が壊れた訳じゃないし、手漕ぎで帰るわ」 レッド「(漕ぎ手は俺だな絶対…)じゃあ波が荒くて漕いでも進まなかったら?」 マリア「進まなかったら…波が静まるまで待つわ」 レッド「ずっと荒かったら?」 マリア「仕方がないから荷を捨てて漂流するしかないわね」 レッド「真昼の炎天とか夜の寒さとかどうする気だ?」 マリア「我慢するわ」 レッド「飯とか、トイレとか、不安な事沢山あるだろ?」 マリア「……何? 貴方怖かったの?」 レッド「ばっバカヤロっ! 俺じゃなくてお前が──」 マリア「私? あんなの平気よ」 レッド「……お前、強いな」 マリア「まあね、貴方よりは」 レッド「くっ──もういい……」 マリア「そう? なら私用があるから行くわよ」 レッド「ああ……」 クリス「マリア、帰国途中に災難だったな。無事でよかった」 マリア「ええ、大した事ではありませんわ。奇襲なんてこれが初めてではありませんし」 クリス「それはまぁ……だが海の上では訳が違うだろう。船が無事だったから良かったが」 マリア「何時如何なる時も、慌てず冷静に、がリセイ様にお仕えする我ら近衛の基本ですわ。それでは失礼します」 クリス「あ……ああ」 レッド「おいクリス、どうだった? マリアの奴、何かいつもより逞しく見えたんだが……強がってる訳じゃないよな」 クリス「そんな感じはしなかったが……」 レッド「? どうかしたか?」 クリス「いや、何でもない。お前は気にしすぎだ」 レッド「あぁ!? ……まぁ、そうかもな。あいつが無事ならそれでいいや。じゃあな」 クリス「……(何だ、ノロケか?)」 グレイ「あの男も妙な所で鈍いですね」 クリス「グレイ、お前はマリアの事何か知っているのか?」 グレイ「ええまぁ。帰国してから直ぐマリアは暇を出していますし、司祭院へ何度か出入りした記録もあります。普段気丈な彼女が身内に会いに行くなど、やはり不安だったという事でしょう」 クリス「事細かによく知ってるな……」 グレイ「同志の行動は逐一確認していますから」 クリス「でも、それならやはりマリアは強がって……」 グレイ「違いますよ。どんなに不安であっても、心は強くあれる時があるでしょう、貴女にも」 クリス「どんな時も、強く……?」 グレイ「レッドは気付いていませんがね」 クリス「え? 何にだ?」 グレイ「ふ……貴女までこれでは教皇も中々不憫ですね。初めて彼に同情しました」 クリス「おいグレイ、何の事を言ってるんだ? お前の話はややこしいぞ」 グレイ「──説明するのも面倒ですから……そうですね、576時間考えても分からなかったら教えてさしあげます」 クリス「ええと、一日は24時間で……20日は480時間の……だぁ! もう分からん! 大体そんなに経ったら忘れてるだろ!」 グレイ「そうですか? 貴女さえ憶えていたら、私はお答えしますが」 クリス「いや、もういい。何だかんだで皆元気だから」 グレイ「それもそうですね(ちょろいですね)」 ※グレイは何気に黒? [完] たとえばそこが地獄でも、何も恐くはない。 私の傍には貴方がいるから── (C)LICHT 2008-2-1 前へ←次へ→ [戻る] |