真面目な彼(日常)
ここは帝国クロス城。
朝6時、リセイ君起床のお時間です。
※くだらない日常です。
リセイ「……(スヤスヤ)」
影「──」
リセイ「……ん」
影「──!」
リセイ「……っ、もう朝か……」
影「──」
リセイ「今日は確か……午前中に会議があったな」
影「──」
リセイ「午後は……特にないか」
影「──」
リセイ「ああ、忘れていた。そう言えばベースタニア家長女の誕生パーティーとかいうのがあったか」
影「──」
リセイ「…………面倒だな」
影「──」
リセイ「いや、別に女に興味が無いという訳ではないが……会った事もない人間の生まれた日など、正直どうでもいい」
影「──」
リセイ「わかっている。俺にとって社交辞令は日常だ。もう慣れた」
影「──」
リセイ「はは、変に気を回すな。パーティーもそれなりに楽しんでいるから」
──ガチャ。
グレイ「リセイ様、何を一人でぶつぶつ言ってるんですか。壊れました?」
リセイ「いや、至って普通だが」
グレイ「そうですか? なら今の独り言は……」
リセイ「グレイ、そろそろ支度しないと会議に間に合わん」
グレイ「……そうですね。必要書類はこちらに置いておきますから」
リセイ「ああ、助かる。……と、確かあれもいるな。書庫から関連資料を持ってきてくれ、アーク」
アーク「御意」
グレイ「──!? 居たんですか!」
リセイ「さっきからな」
アーク「左様」
グレイ「……そうですか(一応独り言ではなかったのですね……)」
アーク「私はこれで失礼する」
グレイ「ええ……」
リセイ「何を呆けているんだグレイ、行くぞ」
グレイ「あ、はい。…………その、リセイ様」
リセイ「何だ」
グレイ「アークはいつの間にか無口な男になってしまいましたね」
リセイ「そうか? 俺とはよく話すがな。ほら、さっきも会話していただろう」
グレイ「あれは会話では無くテレパシーの一種かと。アークは貴方にだけは心を開いていますからね。まぁ、あんな事があれば、それも仕方がないとは思いますが」
リセイ「そんな事はない。珈琲の話になると途端に喋り出すぞ」
グレイ「? 何ですかそれ」
リセイ「紅茶か珈琲なら、アークは断然珈琲派だ。中毒並みに」
グレイ「駄目じゃないですか。というか、疲れきったサラリーマンみたいですね」
リセイ「俺も疲れた。有給休暇をくれ」
グレイ「二千パーセント無理です」
リセイ「……えらくはみ出したな」
グレイ「ええ、甘えは無しですよ。大丈夫、一月くらい寝なくても生きていけますから」
リセイ「俺にも人として生きる権利はある」
グレイ「……ふ」
リセイ「!(笑われた……)」
グレイ「さて、リセイ様。会議中に眠ったりしない様に……」
リセイ「当たり前だ」
グレイ「強烈カフェイン100ドリンコ、飲みますか?」
リセイ「何だその怪しげな飲み物は。いらん」
グレイ「そうですか? 残念ですね。ならこれは処分して……」
アーク「グレイ、いらないなら俺にくれないか」
グレイ「アーク! (もう帰って来たのですか……)勿論いいですよ」
アーク「……すまないな。──むっ! こ、これは……グレイ、この強烈ドリンコは何処に売っている」
グレイ「(その名前が凄く似合わない……)ええと、確か城下町の薬屋に」
アーク「そうか、城下町の……。いや、急に悪かったな」
※アーク颯爽と去る。
グレイ「買いに行くんでしょうか……」
リセイ「な? 珈琲の事になると喋るだろ、あいつは」
グレイ「その様ですね。彼から積極的に話しかけてくれたのは久しぶりです。珈琲に凝っているとは意外ですが……」
リセイ「凝っているというより、必然なんだろう」
グレイ「は? それは……──」
===城下町===
アーク「強烈カフェイン100ドリンコ、十二パック」
店主「毎度あり! 兄ちゃんやるねぇ。これだと眠気ぶっとんじまうだろ?」
アーク「ああ、大分助かる。職業柄、浅眠でなければならないからな」
店主「何だ徹夜が多いのか? 大変だなぁ、若いの」
アーク「……いや……」
店主「ほら、もう一本おまけしてやる!」
アーク「……かたじけない」
※買い物袋(中身:怪しげな飲料水)を両手に提げて、城下町を去るアーク君。
真面目な彼
レッド「アークは一人で抱え込むタイプだな」
マリア「貴方と正反対ね」
レッド「……何か、棘無い?」
マリア「そんな事無いわ」
レッド「そっか……」
(C)LICHT 2008-2-1
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