19話 出発05 「コウ様、支度が整いましたら裏門へお越しください」 ダイスが出発の準備を進めていてくれたらしい。コウは返事を返すと、急いで着替えた。 『コウは最近つい立ての向こうで着替えるんです。前は私の前でも堂々と脱いで…バコッ カルロが何かほざき始めたので、その口を塞ぐ為に近くにあった置物を投げた。それは見事に的中し、カルロの頭には小さなたんこぶが出来た。 『こうやって日に日に凶暴になるんです、貴方も気をつけた方がいい』 「……お前が怒らすからだろう」 カルロに忠告されたものの、今のは明らかにカルロが悪い。だがしかし、「カルロの前で脱いでいた」という事態には腹が立つ。 「もうっ……あの時はカルロが動物だって思ってたから……」 コウは着替えを終え、つい立てから姿を出した。カルロに文句を言おうと思ったのだが……自分の発言に「しまった」という顔をする。 「動物でなければ何だというんだ」 コウの失言を、フレアンは決して聞き逃さなかった。カルロの睨みが恐い……。 「な……んでもないです」 「そんな訳ないだろう、コウは俺に嘘を吐けると思ってるのか?」 いいえ、思ってません。でもカルロちゃんが恐いんです。お願いです。見逃してください。 ……と心の中でお願いしてみたが、通じるはずも無く、更に責められる。 『コウを責めないで下さい、彼女は私に気を遣ってるだけなんですから』 「……なら正直に言えよ、カルディアロス」 『本当は……気付いてるんでしょう? いちいち言わせないで下さい』 「本人から聞かないと確信できない」 今日のフレアンは結構強気だ。恐らく……今までずっと気になっていた事なのだろう。出会ったのは何年も前。だが詳しい事は何も知らない。色々な情報や噂から、少しずつ見えてきたカルロの本性。だが、これから共に長い旅をする仲間だ。知っておかなくては、動きづらい。 ←前へ|次へ→ [戻る] |