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19話 出発03


「お前の本当の力は元々封印してあるだろう、そうじゃない……精霊の力を制御するだけだ」

『この上更にですか? コウに何かあった時どうします』

「コウも十分強い。もし彼女が対処しきれない問題があるなら、俺が処理すればいい」

『……私がいらないと言いたいのですか?』

 カルロの姿は可愛らしいが、顔つきはかなり恐い。丸い目で睨まれても恐くは無いけど、ちょっとした違和感はある。

「そうじゃない……本当に必要なときに手をかせばいい。だがお前は精霊だ。王の身に少しでも何かあれば無意識に体が動く。その隙を見逃すほど東国や西国の騎士も馬鹿ではない」

『……西国まで出すという事は世界中で色々と怪しい動きが目立つようですね』

 カルロも、彼が何を言いたいのか判ったらしい。カルロの力は凄まじく強い。そして、その能力は特殊だ。

 樹の守護精霊。彼は10年前にも一度、力を発揮した事がある。その効力は本当に世界中に行き渡るものであった。

 燃えつくされた森も、死体で腐食した大地も、疫病で荒れ果てた村も。戦争の被害を全て拭い去った。それはいいことなんだけれど、一歩間違えれば恐ろしい武器だ。
 カルロの力で、森の緑は枯れ果て、大地は枯渇し、世界中に恐ろしい病気を蔓延させる事が出来る。政治の道具に使われでもすれば……当然その国が勝者となり、敗者には恐ろしい天罰が下る。
 カルディアロスはそれを望んでいない。だからこそ、世界からその存在を隠さなければならなかったのだ。



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あきゅろす。
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