21話 海賊船04 その頃、港町では。 『はぁ、貴方と二人きりなんて耐えれませんね』 「そう言うな、コウにも何か考えがあったんだろう」 『そうでしょうか...ただの思いつきだと思いますよ』 「まぁ確かに」 カルロとフレアンは呑気に船券を購入していた。 といっても、ダイスが先に予約をとっていたので、券をもらいに行くだけなのだが。 「コウ、一人で大丈夫だろうか」 『ルーンもいることですし、まぁあれは寝たら5時間は起きませんが』 「心配だな。カルロ」 カルロはため息を漏らす。 この男は極度に心配性だ。そして過保護のコウバカだ。 そう思ってみたが、自分もそうかもしれない、と感じる。 『判りましたよ。気配だけでも結構ですね?』 「ああ、頼む」 カルロは少し集中する。だが表情は平然としたままだ。 何事もないかのようにしているが、普通の精霊はこんな人ごみで「特定人物の気配を読む」などという高等な事は出来ない。カルロだから成せる技と言ってもいいだろう。 『……』 「どうだ? ちゃんと初めの場所にいるか?」 『……に』 「え?」 『港にいます』 ……港 町から港までざっと2キロ。そして別れてからまだ数十分しか経っていない。 例えうろうろしたとしても、その短時間で2キロ離れれば、さすがに普通じゃない。 『危険なものはなさそうですが、どうしますか?』 「港には海賊がいる。カルロ、行くぞ」 『ですね。まったくコウには退屈しませんよ』 フレアンは方向を変えて走り出す。カルロもそれに続いた。 「港のどの辺りだ?」 『混ざってよくわかりません』 「……そうか」 今のカルロにはこれが限界だ。 だが、それだけ判れば関係ない。 今は一刻も早く港に行って、彼女を見つけなくては。 ←前へ|次へ→ [戻る] |