20話 港町リノア03 ===== 宿屋 ===== 「ここが今日泊まる部屋だね、ベットふかふかー!」 重たい荷物を下ろし(フレアンのみ)、休憩をとる4人。半日ずっと馬に乗りっぱなしだったのだ。さすがに腰にくる……。そのうちに部屋に宿の人が入ってきて、夕食を置いていった。もうそんな時間だったのか。 食事を済ませ、先にお風呂に入ってきたコウ。その薄着姿に何故かフレアンさんは不機嫌だったが、彼も風呂へ向かった。コウはベッドに座り、ルーンを呼ぶ。籠のフタがもぞっと動き、中からひよこが顔を出した。 『コウ嬢、もう夜ですか?』 『貴方は寝すぎですよ、フェザールーン』 『いや、籠の中は落ち着くのでな。つい……』 可愛らしい精霊が、言葉遣いはどうであれ、うごめいているのは本当にたまらない。二人共々抱きしめてぐりぐりしたくなる。……が、恐らく嫌がられるのと、騒いでいるとフレアンに怒られそうなので我慢した。 「よかった……でも本当ルーンはよく寝るね。リストの森にいた時は何してたの?」 『特には……月が出る夜は月光欲を楽しんでいたが、新月の夜はすることもなくてな』 「(毎日月光浴)……昼間は?」 『睡眠だ』 「そ……そう……」 ルーンはインドア波だな。それも極度の。 『力の強い者は、それを維持するのにもかなりの力を使います。特に彼女は聖域の封印を守っていたので仕方ないのでしょう』 「そっか、ルーン大変だったんだね」 『コウ嬢に心配してもらえるなら、何も苦ではありません!』 急に元気になったルーン。ひよこが「何でも出来る」だって。可愛いなぁ。じゃれあっていると、フレアンが帰ってきた。湯上りの彼は一段と男の色気が放たれていた。 「コウ、明日も早い。そろそろ寝なさい」 「はいはーい。フレアンさんってお父さんみたい。あ、でもお父さんにしては若いか」 「その様なものだろう、実際」 ―肯定した― 「あっうん、まぁね……おやすみなさいっ!」 コウは胸を締め付ける何かを抑えながら、ベットにもぐりこんだ。ルーンも一緒に布団の中に入る。 「コウ?」 フレアンはコウの急な態度に違和感を持ったが、思い当たる節が見当たらなかったので、彼も隣のベットに入った。カルロはコウの背中越しに体を休める。 カルロとフレアンはお互い犬猿しながら眠りについた。 ←前へ|次へ→ [戻る] |