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20話 港町リノア02


 ドンッ!

「あっすいませんっ」

 途中、周りを見ていなかった所為で通りすがりの人にぶつかってしまった。コウとっさに謝る。向こうも当たった事に気付き、振り向いた。

「ああ、こっちこ……女ぁぁ!?

「え! はいっ……え?」

 振り向いたと思ったら、いきなり大声で「女!?」といわれた。どういう意味だろう。今の格好は明らかに女なので、間違えたとかじゃ無いと思うけど。

「女が俺に近づくんじゃねぇよ! さっさと消えろ! この遊び女!」

 は? はぁぁ――!!?
 いきなり怒鳴られ、遊び女(メ)とか言われ、言葉が出てこない。こんな全っく知らない男の人に、何で怒られてんの? コウが問答している間に、彼はさっさと行ってしまった。その後姿を見ながら、一言。

(何じゃあいつはーっ!!)

 小心者ゆえ、決して声には出さなかったが。

 腹が立ってきて、遠ざかる男を激しく睨んでやった。すると、その男は通りすがりの少年を呼び止めた。少年は少し驚いている。知り合いではなさそうだ。あの男の子にも当り散らすのだろうか。可愛そうに。
 そう思っていると、意外な言葉が聞こえてきた。

「君はどこの子?」

「えっ? 僕はこの町の……」

「ふーん……いいね、お前みたいな純粋な奴は好きだ。ちょっと俺ん家まで来いよ」

「そっそんな……あ……」

 少年は、男に肩を抱かれ、そのまま人ごみの中へ消えて行きました。それはそれは異常な光景でした。ですが目が離せませんでした……。もしや彼は……ホ〇!?

 コウは声に出さないぎりぎりの範囲で、それこそ力いっぱいそう叫んだ。



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