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闇の輝星《07》


「シーモア家長男、アモン=シーモアだ。門を開けてくれ!」

 アモンはクロス城表門の前でそう叫んだ。すると門番がやって来て、アモンとマリアを上から下まで見回した。

「シーモア? ああ、あの鍛冶屋の。一体何の用だ?」

「以前城主より承った武具の完成品を持ってきた。城主にお目通り願いたい」

「あーだめだめ。城主は忙しいんだ。俺が渡しておくから」

 門番はやる気なさそうに対応した。それに不快感を覚えたが、今はそれどころではない。
 覇王デスの不在が長期化したからか、城内全体に覇気が感じられなかった。
 これは相当腐敗している。

「直接渡さねば意味がない。城主の時間が空くまでいくらでも待つ」

「そんな勝手なことされちゃ困るよ、ただでさえ覇王が不在だってのに」

「黙れ貴様ら! それでも神軍の人間なのか!?」

 アモンはとうとう切れた。
 門番はびくりと震えたが、相手はまだ10歳の子供。恐れるに足らなかった。

「ああ? あんま生意気言ってるとどうなるか……」

 門番はアモンに凄んでいったのはいいが、背後から凍るような視線を浴び、言葉を切った。
 そして、ゆっくりと振り返る。

「!! リセイ様!?」

「何を揉めている」

 驚き戸惑う門番に対し、リセイは淡々と話した。

「いっいや、これはっその」

「そこにいるのは私の知人だ。中へ入ってもらえ」

 リセイは当然のようにそう言い放った。
 それに対し門番は挙動不審な行動をとる。
 この時アモンが見たリセイは、想像以上だった。何が“想像以上”だったのか。それは。

 リセイの目には感情というものが一つもなかった。

 出会った時も、無表情な奴だとは思っていたが、今の彼はそんな次元を超えていた。
 逆に表情は柔らかくなった方だ。
 ただ自分を殺してきた結果なのか、リセイは人形のようにただ動き言葉を放つに過ぎなかった。

「リセイ」

 アモンの声を聞いたリセイの表情がぴくりと動いた。
 それは僅かだったがアモンは察した。まだ彼は心まで失っていない、と。

 この異常な空気の中、二人はリセイに連れられて城内へ入った。



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あきゅろす。
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