19話 出発11 遠くの方で、人一人と馬何頭かがこちらに向かっていた。コウも駆け足で近寄る。 「これが馬!? おっきい!」 「移動用はスタミナ重視だからな、体も大きめなんだ」 『コウ、こちらにルーンと荷物を括り付けてください』 「ルーンを荷物扱いしないでよ!」 コウはカルロに荷物だけ渡した。ちっ、と聞こえたような気がしたが、気にしない気にしない。カルロは何をそんなにぴりぴりしてるんだろう。 「カルディアロス、ルーンにコウを取られたからって拗ねるなよ」 『意味が判りません、寝ぼけてるんですか?』 「カルロ……そうだったの」 そう言われれば、さっきからずっとルーンの籠を持ってるから、カルロを抱きしめてない。普段はぎゅっとしてあげるんだけど、カルロったら……可愛い。 『#name1#、余計な事は考えないでいいですから……っ!?』 いじらしいカルロが可愛くなって、思わず抱きしめてしまった。その行動に一番驚いたのは、緑の狸。 「可愛いやつめ〜! ぐりぐりしてやるっ」 『ちょっ……何やってるん……コウ!』 本格的に怒り出したので、この辺で止めておいた。開放され、カルロは息切れしている。 …そんなに強く絞めてないけどなぁ… 『まったく、滅茶苦茶です…貴方は…』 「あはははは」 にこにこと嬉しそうに笑うコウを見て、それ以上怒れなかったらしい。カルロは顔を反らし、馬の方へ飛んでいった。 「コウ、おいで、一人じゃ馬に乗れないだろう」 フレアンが手招きするので、そちらに向かった。 ←前へ|次へ→ [戻る] |