修行12 ===月の間=== 修行の為貸し切り中の月の間へ戻ってきたコウは、再び精神の受け渡しの練習を始めた。今度はルーンで試そうと思ったのだが、予想以上に拒む。 「どうして? 私ルーンの人型一度しか見てないわよ」 『それは……』 ルーンはたじろぐ。人型を見られたくないという精霊達の方が理解しがたい。あんなに綺麗なのだから、堂々としていればいいのに。 しかし無理強いは嫌なので、ルーンの人型は諦めた。そのおかげで日に何回も人型になったり動物型になったりしているカルロは……もういい加減ぐったりしていた。 「カルロ、ごめんね」 申し訳なさそうに謝るコウに対し、カルロは「構わない」と言ってくれる。実は下心的要素が有ることには気付いていなかった。 兎に角カルロの協力の甲斐あって、力を与える方は難なく出来るようになった。しかし奪う事は上手くいかず、途中で断念せざるをえなくなる時が多々あった。 『自然に任せれば必ず出来ます。世界は決して貴方を拒まない。自信を持っていればいいのですよ』 「うん……ありがとう」 コウは笑顔を見せたが、やはり少し元気がなかった。納得がいくまでやり切りたかったが、あまり無理に力を使おうとするとアムリアにも精霊にも悪影響を与えてしまう。 今はただ無理はせず、少しずつ慣れるしかなかった。 ←前へ|次へ→ [戻る] |