16話 騒動 いやったらいやぁぁぁっ!! 「!?」 『? どうかしました?』 「いや、コウの声がしたような……」 『ついに幻聴ですか、病院に行った方がいいですよ? ああ、心配いりません。コウの事は私に任せて下さい』 「お前、やっぱり……」 フレアンはある人物の言葉を思い出す。一方意味ありげに何かを悟られ、カルロは少し動揺した。 『何か?』 「この間アモンが言っていた。『カルディアロスはコウに惚れてる』って」 大変重々しい空気が漂い、長い沈黙が続いた。 『――何を言い出すかと思えば……』 「違うのか? 私もそう思うんだが」 『貴方はどうです? コウをどう思ってるんですか?』 再び沈黙が訪れる。お互いがお互いを苦しめあっているこの状況。ルーンに仲裁の役を果たせる分けがない。 この緊張の糸が切れるのはいつなのだろうか。それを心配していたが、意外に早く緊張は途切れた。 バタンッ!! 「『!?』」 天の間の扉が勢いよく開いた。金具が千切れそうな音も聞こえる。だが問題はそこではない。いったい誰が入ってきたのか……。 フレアン達が振り返った時には、扉付近に人の姿はなかった。それと同時に、部屋の奥の寝台からボスッという音がした。今度はそちらを向く。 そこで何かが大きな布団に包まっていた。その人物はだいたい想像がつく。フレアンは立ち上がり、そっと寝台に歩み寄る。 「何があったんだ? コウ」 名前を呼ばれ、姿を出そうとしたが、やめた。今この格好を見せるのは抵抗がありすぎる。自分が可愛い系でいける顔ならいいさっ! けど……ちぐはぐな格好を見られるのは勘弁してほしいの。ここは引きこもりを装うに限る! コウは貝になった。 ←前へ|次へ→ [戻る] |