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15話 後夜


 許せない……。私にこんなことする権利なんか有るのか知らないけど。どうしてもこれだけは許せなかった。


 コウは思いっきりナティアの頭を殴った所為で手がひりひりと痛んだ。ナティアは殴られた部分を抑えながら、その目は醜く見開いていた。男共も激情にはしる。

「女っ! いい加減にしろよ! おいお前ら、さっさと犯っちまおうぜ!」

 男がそう叫ぶと、他の奴らも勢いよくコウに向かっていった。ナティアは警備兵に向き直る。

 ――だがその瞬間、体が凍りつきそうになった。急に全身が震え、動かない。こんな恐怖を感じたのは……初めてだった。

 黒髪の警備兵は、この時、今ここで起こっている状況を即座に理解した。――そして、

 言いようもない怒りが彼を支配していた。
 それは、何故か……?

 己が身を挺して強大な人間達から守っている、彼女の肌に、どこの馬の骨とも知れぬ男の手が触れる。
 それは、フレアンにとって非常に許し難い行為であった。



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