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15話 後夜


 午後9時00分


「この辺りにいるはずなんだけどな……」

 コウは中央ホールの正面入り口へ来るなりきょろきょろと人探しを始めた。
 普段何処にいるのか聞いた時、今はここで警備していると言っていた……はずなんだが。
 今日は食事会で人も多いし、広いし、ぐるぐる見てまわっても見つからない。

「うーん、外かな?」

 今度は野外パーティ会場へ向かった。
 コウは室内で少し食事をしただけだったので、一度も外に出ていない。

「わ! すごい! 照明綺麗ー」

 野外会場は普段練習に使っている訓練場を全て使って開かれている。白の丸いテーブルが何十台も設置され、豪華な食事が惜しげもなく並べられている。
 ワインにシャンパンにビールにと、お酒も泡ように消えていく。人々の歓声、無礼講と言わんばかりの荒れよう。

 少し落ち着かないが、今は彼を探す事だけに専念した。

「あらっ! コウじゃない! こっちこっち!」

 騒がしい音の中から、知る声がコウを呼んだ。顔を見なくても判る。彼女だ。

「サラ、楽しんでるね」

「当然よ、タダだもの! 飲まなきゃ損よっ。コウも一緒に飲みましょ」

「あ……私人探してるから……」

 ふ〜ん、と疑いの目でみるサラ。「私の酒が飲めないの?」といった顔だ。サラはいい子なんだけど、どうも酔うと(以前にまして)強気になるらしい。
 これ以上ここに居ては身が危険だ、と感じたので、さらっと流してその場を離れた。



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