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一次試験11


 戦士達の死闘を見せつけられ、コウは呆然としていた。相手は幻、こちらが死ぬ事は無いはずなのに、やはり対峙すれば身がすくむのだろう。そう考えを巡らせていると、次が自分の番という事に気付く。

 コウは慌てた様子でバトルルームへ向かった。その途中。

「あれ、昨日の落ちこぼれじゃないか?」

 脇から聞き覚えのある声がした。ちらりと横を見やると、声を出した者は昨日サラの隣に居た大柄の軽薄そうな男だった。

 昨日の事もあり、コウは無意識に冷たい視線を向ける。そして男を無視して歩き出すと、すぐに周りが騒つき始めた。

 今度は私か。手っ取り早く終えて出よう。

 口々に発せられる、嫌味の言葉。コウはシスターでもなければ魔導師でもない。剣士として足るものなのか……と。

 コウはそれらを軽くかわしつつ、部屋へと入って行った。

 ――クスクスクス。無様な格好を晒すだけなのに……

 辺りから刺す様な視線を浴び、本当に居心地が悪かった。普段は周りを気にしないコウだが、この雰囲気に嫌悪感を抱いていた。



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