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一次試験09


 一次試験の会場に再び戻ったコウ。係りの人に進行状況を聞くと、自分の番はもう少し後であった。

 だが、残りの人数も少なくなっていたので、コウはバトルルームの中へ入って様子を見ることにした。

 白い囲いの中には、ガラス張りのバトルルームが数部屋ある。試験監督は上階から見ており、試験前後の戦士達は周囲のガラス越しに中の様子を見れる。

 一人の戦士が手前のバトルルームに入っていった。すぐに扉は閉められ、中には戦士一人のみとなった。その異様な空間に、少々怯えを見せる。

「ククク……あいつチビッてやがるぜぇ」

「クスクスクス……」

 周りで傍観している戦士達は、可笑しそうに彼の様子を見ている。確かに中にいる彼は、緊張でガチガチに固まっているが……。サラの言っていた通り、最後の方は最悪の状態だった。

 順番が最後=バトルルームのスコア低い=弱い。こんな方程式が成り立っているのだ。

――嫌な空気だ。

 そうこうしている内に、始まりの合図が鳴る。

 現れたのは1mほどの普通の虎。これはもちろん幻影だ。挑戦者だって、この日の為に何度も戦っている。固まっていた戦士も、必死で相手の攻撃を受けた。

 その勢いで獣を倒すと、また次の獣が出てきた。それを5匹ほど相手にした後、終了の合図が鳴る。

 ――バタン。

 バトルルームから出てきた戦士は、息絶え絶えで隅の方へ寄り、壁にもたれ掛かる。コウから見ても、彼の戦いぶりは少々不恰好であった。周りはそれに批判の目を向け、戦士の噂を立てる。

 周りの視線が痛い……。

 想像以上にガラの悪い人間達だった為、さすがに私も気分が悪くなった。



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