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一次試験02


 カツン、カツン。

 地下にはコウの靴の音だけが鳴り響く。少し空気が湿っていて、肌寒い。初めは暗さに目がついていかなかったが、そのうち慣れてきて周りの壁が見えるようになった。

 そっと壁に手を当てながら歩いていると、少しざらざらとした感触がした。壁の表面をよく見てみると、そこには文字が書いてあった。

「……何の文字だろう。何て書いてるか判らないわ」

 見た事も無い文字が羅列されており、たまに人と思われる絵なんかも描かれてある。

 ここには、ティレニアの古い歴史が刻まれていた。

 そう……この地下通路には古代の遺跡が隠されているのであった。

「何か……凄く神聖な感じがするな」

 コウはそれに気づく事はなかったが、ここが普通とは違った場所だという事は理解できた。

 まっすぐ進んでいくと、そのうちに一点、明るい光が見えてきた。だが地下道の先は行き止まりである。上を見ると、僅かに光が漏れていたので、ここからの光だったのだと気付き、蓋をこじ開けた。


 ――地下の出口だ。

「っ……眩し……」

 地下を抜けた先は、町と軍事機関の間にある丘であった。数段のはしごを上って、ようやく地下から脱出できたコウ。本道から大分離れた場所なので、人っ子一人いない。遠くの方を見ると、本道に行列が出来ていた。

「あの人達も皆今日の試験を見に来るんだ」

 まだあんなにいる。そう思うとやりずらくてしょうがなかった。

 あの行列とは関わりたくないので、そのまま丘を抜けて機関内に入ることにした。



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あきゅろす。
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