修行16
===宮殿 天の間===
コウがチームメンバーと会っている間、カルロとルーンはこの天の間で休養をとっていた。
コウが入ってきたと同時に、飛びつく二匹の精霊。突然の出迎えに驚き、コウは声をあげて後ろへ倒れこみそうになった。
――トサッ。
絶対尻もちついてしまうと思って目を硬く閉じていたが、以外にも背中が暖かかった。そして、肩に息がかかり、ビクリと反応する。
「また気絶する気か? 物好きだな」
「あれ……? フレアンさん!」
後ろを振り返り、驚きの声をあげる。それに満足したのか、フレアンはコウの体制を元に戻すと、天の間に入ってしまった。
そこはアムリアの寝室なんだけど……
と言いたいところだったが、帰ってほしくなかったので黙って受け入れた。
しばらくするとダイスさんがやってきて、夕食を持ってきてくれた。当然のようにフレアンさんの分もあったので、少し違和感を持ったが。
ダイスさんとフレアンさんの関係がいまいちわからない。そう考えていたコウだったが、実は彼ら同士もそう親しい間柄ではなかったのだ。
ただダイスは、フレアンを−帝国の軍総−として持て成しているわけで……それを知らないコウにとっては、二人の関係など暗雲の彼方にあるのであった。
「でもフレアンさん、どうしてここに?」
食事中、ふと気になったことを聞いてみた。フレアンは何かを躊躇う様な仕草をとるが、至って普通に答えた。
「明日本試験だろう? 少し心配だったからな」
「え……と、いいますか……何故フレアンさんは入れるんでしょうか」
その質問に、普段は見せない動揺が見て取れた。彼はクリスさんやアモン教皇と知り合いだ。それは彼が各地に赴く特別な衛兵だから……。加えてカルロは昔の彼を知っている。
これらの事が、何故か一つの方向へ繋がって行く様な気がしてならなかった。
←前へ|次へ→
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!