仲間17 ダイスは驚愕していた。 まさか、こんな所で古の神に会えるとは思ってもみなかったから。 『やはり知っているか、私を』 「当然です……我ら一族、貴方の存在だけは世間に隠し通さねばならぬと肝に銘じてきましたから」 『そうだな、おかげで私の正体は未だに誰も知らぬ』 「はい。貴方の存在は自然界に多大な影響を与えます故……」 ダイスは額から汗を流していて焦点もはっきりしない。神二人を目の前に頭など上げられる筈もない。 ずっと、俯いたままだった。 『ただ、帝国の若僧が少々感づいている』 「それは……リセイ様の事でしょうか」 『ああ、奴とは何度も会っているからな。あの頃のあいつはエリスを母親のように慕っていた』 ──エリス。 ダイスはその名前に強く反応した。 密かに精霊の王だと言われていた帝国の王妃。実際彼女は王ではなかったが、とても精霊に好かれていた。 どんな訳があったか知らないがカルロはエリスによく懐いていたらしい。 そんな頃戦争で母親を亡くしたリセイは、よくエリスの元へ遊びに来ていたという。 心優しい帝国の王妃。 ついに彼女はカルロの本性に気付かなかった。 彼女がそれを知ったのは、彼女が命を絶つ直前の事だった。正確に言えば知りった後で契約を交わしたのだが。 そして、彼女は惜しみなくも命を絶った。その身に在る精神全てをカルロに与えて。 全ては世界を救うために……。 ←前へ|次へ→ [戻る] |