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仲間16


「これはお二人揃って……」

 ダイスはカルロとルーンを見て驚きの声をあげた。彼は精霊の王を守る一族の人間だが、古の神などに会った事は勿論無い。
 それでも、風貌から判る。ルーンが放つ気は普通の精霊とは明らかに違うものだった。

 だから気付かなかった。ルーンの気配に押されて、もう一つの存在に。

「カルロ殿はコウ様と仲の良い精霊であることは存じておりますが、あなたは……?」

 古の風の精霊の事はクリスから聞いてはいた。だがまさか、人間の住む場所まで来るとは思っていなかった。
 それは、彼らリュートニア家の中でフェザールーンほど人間嫌いの精霊は居ない、と有名だったからだ。

『訳あってカルディアロスに会いに来たのだ。お前がリュートニアの主か?』

 初めて聞く神の声。
 ダイスは呆然としていたが、年の功もあってか直ぐに正気を取り戻しルーンの問いに答えた。

「いいえ、わたくしは当主専属の執事でございます。リュートニアの当主は現在西国におりますが……」

『そうか、ならば今は畏まった挨拶は又にしよう。名は?』

「はい、私はダイス=ケイストと申します」

『そうかダイス、我らは暫くここから離れる。後のことを頼みたい』

「はい、ですが、一体どちらへ?」

 ダイスが急の事に戸惑っていると、カルロが前に出て事の詳細を説明し始めた。

 何百年もルーンが滞在することで守られてきた聖域への結界が、アムリアの存在により解かれた。だが東国軍などの部外者がいた為に聖域は大変不安定な状態にあった。
 もう一度封印をかけるべく森に戻ったルーンだったが、思うように封印をかけられない。
 それは……何百年の昔、聖域に封印をかけたのは『カルディアロス』であったからだ。

 前と同じように強力な結界を張るにはカルディアロスの力が必要だ。その為にルーンはここへ来たという。

「なる程。しかし何故貴方なのですか? カルロ殿」

『カルロ? ああ、コウ嬢がそう呼んでいたな』

 ルーンは可笑しそうに反応したが、対するカルロは何か言いたくなさそうにしていた。
 だがこのままでは分けが判らないだろうと思ったらしく、面倒そうに話はじめた。

『私の本当の名はカルディアロスだ』

「カルディア……──!」

 ダイスは聞きなれない名前に一瞬戸惑いを見せた。
 だが、どうやら気付いたようだ。カルディアロスの名を聞いて。

「まさか……古の守護精霊、樹のカルディアロス!?」



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