仲間14
考えてみれば当たり前の事だ。
私は精霊の王。精霊に無条件で精神力を分け与える存在。
「私から精神を得ていたんだ。無限に在る王の力を……」
何て事だ、私は自分で自分を苦しめていたことになる。
つまり、アムリアの能力は精霊の力を増幅させる事で、それは良いものばかりに作用する訳ではないのだろう。
悪いモノにも力を与えてしまう、危険な力にもなり得る。
「ちょっと待って……じゃあ私、闇の精霊とは相当相性悪いんじゃない? 力の制御なんて……どうやったらいいか知らないわよ!」
私は髪を掻きむしる。
絶対にこのままではいけない。このままでは、闇族と対峙した時に手の打ち様が無い。
私から溢れ出る精神をどうしたら止められるのだろう。
考えても考えても答えは出ない。無知な私には為す術がない。
誰に聞かせられる? こんなこと、アムリアを知る者すら限られた人間しかいないのに。
「クリスさんに聞けば……でも、精霊王の事なんて知るわけないよね」
ならばアモン教皇か? いや、彼が真面目に答えてくれるとは思えない。おまけに何処に居るかも知らないし。
『──力は収支に属す』
突然聞こえてきた音に、私は勢いよく顔を上げた。
少し開いた大窓に立つ二匹の獣達。彼らは訓練室のそれとは全く違っていて、あらゆる感情に溢れていた。
『また一人で悩んでるんですか? どうせ考えても答えにたどり着かないんだから無駄なことはやめなさい』
懐かしい声。可愛らしい薄緑の小動物が憎らしく説教をした。
そうだ、私には心強い味方がいたんだった。
『コウ、聞いていますか?』
「ん……聞いてるよ」
『まあ確かにカルディアロスはあまり当てにならんが、私は貴女の力になると言ったぞ』
「カルロ、ルーン……おかえり」
優しく二人を見つめながら、自然と笑顔になる。
その様子を見てお互い顔を見合すカルロとルーン。
少し照れくさそうこちらを向いて、小さく呟いた。
『『……ただいま』』
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