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仲間08


 急にリナの顔から色が無くなり、あれほど騒いでいたケインまでも口を閉ざした。

 恐らく二人は二次試験の内容を知ってる。確かサラは、そんな人は沢山居ると言っていたが。

「私は何も知らないから二人に色々聞かなくちゃね」

 ケインは口を尖らせて言う。

「コウは普通だろ。むしろ俺らみたいなのは珍しいんだ」

「何で? 他にも沢山再試験受けてる人っているんじゃないの?」

 その言葉を聞いて、二人は凄く驚くように声を上げた。
 「そんなわけないだろ」とケインが慌てて大声を出すほどだ。
 それでも理解出来ずに頭を悩ませていると、リナがゆっくり説明し始めた。

「コウさん、一度本試験を落ちた方は警備兵として街に回されるか、見習いのままでいる方が多いんですよ」

 反射的に「何故?」と聞き返す。

「それは……本試験を一度受けた人は恐い思いをしているから」

 そこまで話し終えると、リナは黙ってしまった。

 ──二次試験は恐ろしい。それが何を意味するのか私には判らない。
 軍人になれるかがかかってるのだから、厳しいのは当たり前。だがそれにしても二人の動揺ぶりは普通じゃない。

「二次試験の相手は何なの?」

 率直に聞いてみた。
 リナは答えないだろうと感じたケインは、ぶっきらぼうに呟いた。

「相手は……闇の精霊を具現化させた狂暴な猛獣、闇族だ」

「……闇族……?」

 何も知らない風を見せた私に、ケインが更に眉をひそめる。

「知らないなんてこと、無いよな? 戦士や剣士なら訓練室で戦ってる筈だから」

 そこまで言われて漸く理解出来た。訓練室に現れた四肢の獣や猛鳥は、皆黒く闇をさ迷う亡者の様に空虚で、冷たかった。
 あれらが試験の相手ならつまり教科書通りという訳だが、ケインの口振りからするとどうやらそうではないらしい。


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あきゅろす。
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