仲間02 「や……別に特には……」 「そんな訳ないでしょ! 何日も部屋を空けて……どこにいたのよ!」 どうしよう。 精霊のことは言えないし、咄嗟の事で適当な言い訳が思いつかない。そう考えてる間も、サラは激しい睨みをきかせている。まるでお母さんだ。 これはもう、嘘をつくしかない……。 「……依頼を受けてたのよ」 「依頼ぃ?」 「そ、そう、依頼。それで、帰りが遅くなって入れなくなっちゃってね。依頼主が親切な人で、泊めてもらったの」 「ふ〜ん……何日も?」 絶対サラは信じてない。まぁ嘘だけど。 言えない事情があるので許して、サラ。 「なんか仲良くなってね。その人から他にも色々依頼受けてたの」 「そうなの……だったら今度紹介してよ」 「えっ!?」 「何よ、いいでしょ? コウの友達は私の友達よ」 そんな無茶苦茶な……。 そう困惑していたコウの脳裏に、ある少年が浮かんだ。 そうだ。ルイがいるじゃないか。今度協力してもらおう。 「それでサラ、何か用があったんじゃない?」 「あっ! そうだわ! あなたに伝えとこうと思って……」 サラは荷物から何かを取り出している。それは一枚の紙。ぎっしりと文字が書かれているが…… 「何それ?」 「やっぱり。あなた知らないのね」 「?」 何かの行事だろうか? コウが呑気にそんなことを思っていると感じたサラは、眉間に皺を寄せて迫って来る。自然と私は一歩下がる。 「あなたが掲示板なんて見る人じゃないって分かってたわ。分かってたけど……ちょっとは気にしなさいよね!?」 サラはついに爆発した。 コウは「ごめんなさい」と素直に謝るしかなかった。だがそれは高く評価されたらしい。 サラはふんっ と息を吐き、元の冷静さを取り戻す。 「これにはね、本試験の詳細事項が記されてあるの。一週間も前から貼り出されてるわ」 「……本試験?」 ←前へ|次へ→ [戻る] |