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騎士の集い13


 ダイスに支えられ、ぐたりとうなだれるコウを見たリセイは僅かに顔色を変えた。

「リセイ様……お久しゅうございます」

「ダイス殿、しばらく連絡も出来ず申し訳なかった」

 リセイは静かに声を出した。本当は、心が騒いで仕方ない。
 だが、家臣達のいる前で慌てた素振りを見せることは出来なかった。
 リセイとダイス、二人の話しぶりからして、ある程度知り合いであることがわかる。
 二人が挨拶を交わす間に、追いついたアモンがコウの顔を覗いた。

「ああ、完璧に精神力オーバーじゃないか」

 アモンの言葉を聞き、クリスやマリアは首を傾げた。ダイスは、その意味が判っているのか、無言でコウを見る。
 リセイが代弁するかのように、静かに言葉にした。

「力を使い過ぎたか……」

「……え?」

 マリアがそう聞き返した。
 リセイの言っている事が、今一良く理解できなかった。
 もしかして、古の神を従わせた事を言っているのだろうか? とも思ったが、更にそれにも疑問を持った。

「ですが、精霊を支配する事でコウ様の精神力が削られる事は無いと……」

「精霊は関係ない」

「――え?」

 マリアの思考は完全に止まった。許容範囲を超えたようだ。
 リセイは、ダイスの腕で眠るコウを自分の方へ促し、代わって自分がコウを抱き上げた。
 『帝国の覇王』と呼ばれる男が一人の少女を大事そうに抱えている。その様子に誰も声を発することは無かった。
 カルロでさえ、コウをリセイに任せ、ただ心配そうにしている。
 リセイはカルロをちらりと見たが、すぐに視線を横へ流した。

「精霊は関係ない。問題は……セーレン・ハイルだ」

「セーレン・ハイル? それは……」

「あれはアムリア専用の剣だが、持ち主の精神を奪う」

 リセイの言葉の意味が判ったマリアは、慌ててクリスの方を見た。クリスもようやく意味がわかり、思い当たる節がいくつもある事に気付く。
 その様子を確認したマリアは、リセイに向き直り、深く頭を下げた。

「申し訳ございません! 私の思慮の無さでこのような事に……!」

「申し訳ありません、リセイ様……ずっと傍にいた私こそ気付かなければならなかったのに……」

 マリアに次いで、クリスまでリセイに深く頭を下げた。その深酷な様子に、傍観していたアモンとダイスは息を呑む。
 だが、二人ともリセイが次に言う言葉を予想できたらしい。

「私に謝る必要など無い。コウに言ってくれ」

「ぷっ」

 ──と、誰かが吹嘲した。


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あきゅろす。
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