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騎士の集い12


「あらら? 何か騒がしいと思ったら皆勢ぞろいしてるよ」

 門の前でカルロを問い詰めていたマリアとダイスは、同時に宮殿の方を向いた。クリスも声のした方を見て、そして口を大きく開けた。
 そこには金髪ロン毛の派手な男が立っていて、言うまでもなく、それはアモン教皇だった。

「ア……アモン――!?」

「おお! クリスちゃんじゃないか、久しぶりだなぁ」

「お前、いつこっちに……」

「ん――と、ついさっき。司令塔に行って用を済ませた所だ。それより、そんな所で何してるんだ?」

「いや、コウ様が……」

 クリスがそう言おうとした時、視界に現れたもう一人の人物に気付き、クリスは言葉を失くした。マリアもバッと立ち上がり、敬礼する。ダイスはコウを抱えたまま、その人物に会釈する。

 宮殿から出てきたもう一人の人物。それは、黒髪の青年。いつもは黒服を好むが、今日は司令塔に行く都合もあった為か、白服を着ている。そして彼の真紅の瞳が、その場の全員を魅了した。

 例え髪の色が違えど、その立ち居振る舞いからは格別な高貴さが滲み出る。帝国の覇王と呼ばれ、慕われてきた軍総の威厳……。

「まさかこちらへいらしていたとは……」

「だってリセイ君ったら早く行くぅ〜ってきかなくて〜」

「貴様は黙ってろっ!」

 クリスの鉄拳がアモンの腹を襲おうとした時、それをリセイが止めに入った。アモンはふぅ――っと安堵し、再びクリスに話しかけた(怒らせないように)。

「まぁまぁ落ち着けよ、クリス。何かあったか?」

「あっ! そうだっ。リセイ様、コウ様が……」

「(俺は無視かい)」

 そう言って、クリスは慌ててコウの事を知らせる。アモンは少々ふて腐れ気味だったが、気絶しているコウを見るなり、急に深刻な表情になった。

「おいおい、お嬢ちゃんは一体どうしたってんだよ」

 アモンがそう呟くより先に、リセイはコウの元へ歩み寄っていた。慌ててアモンも歩み寄る。



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あきゅろす。
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