騎士の集い05
周りの兵も護衛たちと同様に大きく目を見開いている。
何を言い出すかと思えば……そんな簡単な事ではないのだから。護衛たちは頭痛がする思いだった。
だがどんなに止めてもルクードが一度決めたことを曲げるとは到底考えられない。
「しばらく軍はお前達に任せる」
「なっ! まさかお一人で行かれるつもりですか!?」
「当然だ。こんな大軍で出向いたら侵略だとでも思われるからな」
「しかしっ……」
「お前達に拒否権はない」
やっぱり……と、4人は同時にそう思った。最早誰も手がつけられないと諦めていた時……。
「やめな、ルクード」
その声に、誰もが「命知らずなことを!」と思ったに違いない。
だが意外にもルクードは怒った様子もなく、寧ろ笑顔で声の主を迎える。
「姉上!」
「ルクード、あんまり深追いはするなっていつも言ってるだろう?」
「ですが……」
突然軍隊の上空に飛び込み大鳥に乗って現れた女性は、ルクードの姉であり、東国の王女である。
長いストレートの青髪をなびかせながら、真紅の瞳でルクードを制す。
ルクードは姉には頭が上がらないらしい。おとなしく言うことを聞いてしまった。
周りは唖然としていた。
いくらルクードの姉と言えど、実際は次期国王であるルクード王子の方が地位は上である筈なのだが。
ルクードはローズの言うことを聞き、渋々コウに会いに行くのを諦めた。
そんな弟の様子を見てローズは笑みをこぼす。
「あの少年はなかなか面白い。今度こそ必ず我らの国にお連れするぞ」
「姉上……! そうですね、次こそは必ず……!」
気付くと、軍兵達はルクードとローズの周りを囲い全員跪いていた。
ローズは大鳥を巧みに操り空へと飛び立つ。それを合図にルクードは一声を挙げ、兵士達を連れてリストの森を発った。
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