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第4話:騎士の集い


 青空によく映える太陽は力の限りに地面を照りつけていた。

 生温い風が草原を駆け、さわさわと優しい音が聞こえる。


 第4話 騎士の集い


 ここはリストの森の出口で、そのすぐ後ろには険しい森林が密集していた。

 コウはそれらを背後にやり、側で浮遊している金髪の女を見た。

 彼女は風の精霊フェザールーン。その強大な力を欲する東国軍から彼女を守り、なんとか無事に森を出ることが出来たところだった。

 密林を一瞬にして通過出来たのはフェザールーンの力だ。

『? 何です……?』

 見つめられていることに恥ずかしくなり、風神は可愛らしく頬を染めた。それだけを見ればまるで人間、それも純な少女の様だ。

「何でもない……こともないかな」

 急に歩みを止めたのは考えに更けるコウ。気付いたクリスが「どうかしたのか」と聞いた。

「うん……ティレニアに帰る前に確かめたいことがあるんだ。クリスはナティアを見ててくれないか」

「あ、はい、そういうことでしたら」



 そうしてクリスたちが十分離れるのを待った後、体を風神に向けて真剣に問う。

「フェザールーン、聞いておきたいことがある」

『何でしょうか』

 コウはいつになく厳しい表情だった。自分でも不思議な程声に力を入れていた。


「君は古の風精霊、つまり世界の神々の一人だ。昔の事はあまりよく知らないが確実に平穏無事ではいられないだろう」

 禁断とされていた古の神が再び人間界へ還るなら、何かしらの変化が生じるに決まっている。

 それが良い方へ行くか悪い方へ行くかは、まだ誰も予想がつかない。

 風の精霊が精霊王アムリアに服従したと皆に知らしめることは、彼女のプライドを傷つけはしないだろうか。
 コウはそれが少し気がかりだった。

「何百年も隠れていたのは君が公になることを嫌ったからだろう? それなら無理をする必要はないよ。このまま森にいても私は構わない」

 一瞬、フェザールーンの蒼い瞳が潤みを含んだ気がした。



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あきゅろす。
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