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聖域と罠16


 ルクードは2人の言葉に頷く。そして、ナティアを連れて、古の精霊の前に立った。

「さぁ、姫、精霊の封印を」

「え、ええ」

 ナティアはルクードの言うとおり、古の精霊の前に立つ。優位に立っているのはこちらだ、と言わんばかりのルクードの態度は、小心者の彼女を安心させ、それにより恐いものなど何も無い、といったような表情を見せたナティアだった。

「古の神、フェザールーン。さあ封印を解いて頂戴」

 ナティアは声を張り上げた。だがそれを冷ややかに見つめる精霊。彼女には分かっていた。どんなに姿を偽っても、誰が自分達の王なのかを。つまり、彼女にとって、目の前で命令してくるナティアなど、鬱陶しいことこの上なかった。

 しかし精霊は、先に護衛の2人に目をつけた。まずは、王に危害を加える者を潰さなくては。

 フェザールーンは両腕を上げ、その手に風を集め始めた。ルクードはその様子を見て、何かがおかしい事に気付いた。しかし、それが確定する前に、フェザールーンの攻撃は護衛2人の腕と足を貫いた。――風の槍だ。

「ぐぅっ!?」

「ああああっ!!」

 2人はそれぞれ貫通した部位を抑えながら崩れ落ちる。その様子を見たナティアは、ひどく怒った。

「貴女っ何考えてるの! 彼らは味方よ!?」

 フェザールーンは今度はこの煩い小娘を標的にした。ナティアを睨みながら、また風を集めていく。ナティアは精霊を罵倒し続けたが、やがて風の槍が他でも無い、自分に向けられている事に気づき、急に言葉を無くした。

『虚け共が』

 精霊の吐き捨てた言葉がナティアを絶望させた。そして、風の槍は一直線にナティアの喉元へ向かう。



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あきゅろす。
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