長編メイン小説【もっとX2強くなれ!!】 その7 『は……?あの子、何で怒ってるの…?』 勇輝の怒りの理由が全く分からない十朱。 そもそも、この学校の一般生徒の中で十朱に対し、嫌悪感を丸出しにしてくる者等、まず居ない。 好奇心をくすぐられた十朱は、勇輝を追い掛けた。 「ねぇ君、一体どうしたってゆーの? 何で怒ってるの…?」 「別に怒ってなんか無いですよ!!」 そもそも、只の好奇心で勇輝を追い掛けて来た十朱には、人に対して頭を下げるという考えが、全く無い。 頭を下げる代わりに、勇輝の前で軽く腕を組み、ため息を吐いた。 「ふぅ。大体、僕の案内無しで、どうやって理事長室まで行くつもり?」 「そんなの通り掛った人に聞けば……って…え?」 言われて周囲を見渡した勇輝だったが………人っ子一人見当たらない。 現在、春休み中の校舎に生徒も教師も居ないのは当たり前だった。 それを承知していた十朱が、勇輝を追い詰める。 「今は春休みなんだよ? 学生寮ならともかく、校舎に人なんか居ないよ? …さぁ。誰に道案内して貰うのかな〜?」 悔しそうに、俯いて唇を噛む勇輝。 「うう……十朱先輩…です…」 瓶底眼鏡と、ボサボサの前髪に隠れて表情は分かり難いが、恥ずかしいやら悔しいやらで、勇輝の頬は赤く染まっていた。 そんな勇輝の態度が、十朱のS心に火を点けた。 ――――カチャ。 十朱は顔を赤く染め、下を向いて俯く勇輝から、瞬時に眼鏡を取り上げた。 いきなり鮮明になった視界に驚き、思わず顔を上げる勇輝。 しかし、十朱はもっと驚いていた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |