長編メイン小説【もっとX2強くなれ!!】 その14〜勇輝の叔父〜 ―――コンコン。 「十朱です。相沢勇輝君を連れて来ました」 十朱が理事長室のドアをノックすると、理事長とおぼしき人物の声の返事が聞こえた。 「………入りたまえ」 「…失礼します」 一流企業の、本社ビルの様な校舎にふさわしく、理事長室もまさに、どこかの会社の社長室の様な造りだった。 部屋の中央には、茶色い本革張りの大きなソファーが対になって置かれ、壁には恐らく値うち物の日本画。 観葉植物の植木鉢が脇に置かれた、室内を見渡せる上座には、重厚な高級感のある大きな木製のデスク。 そのデスクで、何やら書き物をしている男性が、理事長である事は勇輝にも一目で解った。 男性の容姿に父親である、誠一郎の面影を感じたからだ。 書類から顔を上げ、時計を見た男性が口を開いた。 「随分と時間が掛った様だが…?」 「すみません。 どうやら行き違いになったようで…」 「フン」と、鼻を鳴らした男性は、別段咎める事も無く十朱に指示を出した。 「相沢君には、私から学院の説明をするから……君は奥の別室で待機していなさい…」 そう言うと、男性は部屋の奥にある木製のドアを指し示した。 「はい…」 と、返事をした十朱は、勇輝にだけ聞こえる様に、小さく「気を付けてね…」と呟いた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |