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長編メイン小説【もっとX2強くなれ!!】
その14

「ただいま…」


「「「御邪魔しま〜〜す」」」


初めて来る家にも、全く気後れする様子の無い三人は、踵を踏み潰したスニーカーやら革靴やらを、玄関にポイポイっと脱ぎ散らかすと、ドカドカ上がって来た。

この位物怖じしないと、こっちも気を使わなくていいな。

とりあえず、二階の自室に行くには、リビングを抜けないといけないんだけど
……。

父さん…帰ってたら絶対リビングに居るんだよな
……。

…僕は、少し躊躇しながらリビングの扉を開いた。

――ガチャ。

「ゆ…勇輝!!
お前…その怪我は一体どうしたんだ!?」



やっぱり帰って来てたし…。
そりゃびっくりするよね……?
入学式に行った息子が、こんな遅い時間に帰って来た上、頭には包帯、顔は湿布だらけの姿じゃ…。

何て答えようか考えあぐねて居ると、僕の後ろに居たミッチーが父さんの傍に駆け寄り、こう言ってくれた。

「すんません!!
勇輝君をボコボコにしたのは俺です!!
本当にすんません!!」

一気にそう巻くし立てると、ミッチーは実に男らしいキビキビとした動作で、父さんに向かって土下座した。

僕はびっくりしてミッチーの傍に駆け寄った。

「そんな事しなくて良いよ!!
僕達もう友達でしょ!?」

するとミッチーは、僕の目を見据えて微かに微笑むと、落ち着いた口調で言った。

「俺は、お前が喧嘩した時無ぇの分かってて、嫌がらせで喧嘩売ったんだ。
お前の優しさに甘える訳には行かねぇ。
ケジメだけは付けねぇとな……。
俺は胸を張って、お前の事をダチだと言いたいんだよ…」


「全く、相変わらず不器用なヤローだ…」


「ミッチーらしいじゃん♪」


そう呟いた硫ちゃんとター君が、ミッチーの後ろに並んだ。

「道徳が、勇輝君に喧嘩売るのを止めないで見ていた、俺達にも責任が有ります。
すいませんでした!!」

そうキッパリ言い切ると、二人もミッチーの後ろで父さんに土下座した。

白いソファに腰掛けたままの父さんに、ミッチーの隣で腰を落としていた僕も涙目で訴える。

「…父さん……
只の喧嘩なんだ…
三人とも僕の大事な友達なんだ…だから…」

父さんは僕の頭を優しく撫で、土下座したままのミッチーの前に片膝を着くと、ミッチーの肩に手を乗せこう言った。

「男同士の喧嘩は両成敗だ……。
勇輝の怪我について、君達を責める気は私には無い……。
これからも勇輝を宜しく頼むよ…?」


「あ、ありがとうございます!!」


途端に破顔する三人、僕も何だか嬉しくて涙が溢れてきた。

そして、父さんはとても優しく微笑んで

「良い友達が出来たな…
大切にするんだぞ?」

と言って頭を優しく撫でてくれた。


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あきゅろす。
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