長編メイン小説【もっとX2強くなれ!!】
その32〜工藤 俊介〜
とりあえず僕達は、夕飯が出来るまで、硫ちゃんの部屋で寛ぐ事にした。
フローリングの床に敷いてある、小さな座布団に腰を下ろし、テーブルを挟んで向かい合った硫ちゃんは、何だか妙に真剣な顔をしていた。
ひょっとしたら、まだ遊園地での喧嘩の事を気にしているのだろうかと思い、気にしない様に言おうかと思った僕に、硫ちゃんから意外な言葉を告げられた。
「昨夜、ター君から電話で聞いたんだけど…。
昨日、神州連合の下の奴とモメたんだって?」
昨日はター君が褒めてくれたから、大丈夫なのかとばかり思ってたけど…。
ひょっとしたら僕、とんでもない事をしちゃったとか!?
「ご、ごめんなさい…」
僕が俯いて謝罪の言葉を述べると、硫ちゃんは驚いた顔で手を横に振った。
「違う違う!!そうじゃ無くて『ありがとう』って言いたかったんだよ!!
チームが馬鹿にされたから、怒ってくれたんでしょ?…ありがとう♪」
満面の笑みで『ありがとう』を言われ、何だか照れ臭くなった僕はまた俯いてしまった。
だって僕の顔…絶対真っ赤になってるもん…。
ひとしきり『勇ちゃん可愛いー♪』と騒いでいた硫ちゃんも、漸く落ち着いてくれたらしく、煙草に火を点けると紫煙を吐き出しながらポツリ、ポツリ、と言葉を紡ぎ出した…。
今は亡き兄、俊介さんについて。
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