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長編メイン小説【もっとX2強くなれ!!】
その5〜遠い日の思い出〜


――シャアァァ。


僕は、シャワーを浴びながら呟いた。


「一馬…」


僕には一つ年下の弟が居る。

弟と言っても、父さんの再婚相手である優子さんの連れ子だ。

小学校三年の時、取り立てて友達の居ない僕は、家の庭で一人、壁にボールをぶつけては拾い、またぶつけるという一人遊びをしていた。

そこに一人の男の子がやって来た。

いや、始めは女の子だと思った。

春の光をキラキラ反射させる赤毛、小学生なのに整った切長の美しい瞳、白くて細い手足…服装で男の子だって、辛うじて理解出来ただけ。

やがて、一馬と優子さんは僕の家族になった。

僕が優子さんを、母さんと呼ぶようになると、何故か優子さんは、僕に冷たく当たる様になってきた。

ある日、母さんは僕を自室に呼び、こう言った。

「勇輝さん。
私の事をあまり母さん、母さんと気安く呼ばないでね?
私はあんたを産んだ覚えは無いわ…」


「だって、父さんがこれからは優子さんを、お母さんだと思いなさいって…」

困惑した僕が話しの途中で反論すると、優子さんはソファーから勢い良く立ち上がり、こう言った…

「だから言ってるでしょう!?
アンタがアタシの事を、母さんと呼んで良いのは、誠一郎さんが側に居る時だけよ!!
思い上がらないで!!」

そう一気にまくしたてると、優子さんは傍にあったティーカップを、僕に投げ付け、こう付け加えた。

「アンタなんか、文江と一緒に死んじまえば良かったのよ!!」

その時やっと分かったんだ………。

優子さんが一番嫌いなのは……死んだ僕の母さんなんだって…。



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あきゅろす。
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