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長編メイン小説【もっとX2強くなれ!!】
その69〜勇輝の右手〜
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原、佐々木の両名に、医務室まで送って貰った勇輝は、廊下で診察が終わるのを待っていた二人の元へ、駆け寄った。

「お待たせ〜終わったよ〜〜。
ほらほら、もう完全復活だよ♪」

抜糸が済み、怪我が完全に治った右手を、得意気に二人へ見せる勇輝。

しかし、抜糸が済んだばかりの傷口は勿論の事、良く見ると勇輝の小さな右手には、大小様々な傷跡が刻み込まれていた。


「…ホンマやったら、ちっさくて可愛いお手ての筈やのに……。
こないに、傷だらけになってしもーて……。
……なんや不憫で、ワイ…よう見てられんわ…」

原はそう言うと、哀し気な表情で、勇輝の小さな右手を、両手で優しく包み込んだ。

それを見ていた佐々木も、やはり原と同じ様に、哀し気な表情で呟いた。

「……でも、勇ちゃんはその傷の数だけ、みんなの心を救ってきただよね…」

恐らく佐々木は、守衛室の大型犬や、高宮の事を言っているのだろう。

すると勇輝は、ナーバスな表情の二人へ微笑みながら話し掛けた。

「二人共大袈裟だって。
女の子じゃないんだから、いちいち、そんな事気にしてたら変だよ。
それより早く行かないと、きっと山岡先生待ちくたびれてるよ!!」

そう言いながら、二人の手を引っ張る勇輝。

『…こないに可愛い顔しとるのに、それを鼻に掛けんと、いっつも我の事より、ダチの事を最優先に考えとる……。
…こないに健気で可愛い子…初めて見たわ…。
…ワイをこないに惚れさしたんや…ちゃんと責任は取って貰うで?勇輝ちゃん…』

二人の手を引き、歩いて行く勇輝を、原は微笑みながら見つめていたが、佐々木は先程から少し寂し気な表情だ。

『…勇ちゃんの手の傷は、僕の知らない人達の為に、頑張ったせいで付いたのも、きっと沢山あるんだよね……。
……別に、勇ちゃんに怪我して欲しい訳じゃないけど…何だか羨ましいな…』

そう思いながら、佐々木が自分の手を引く勇輝を、寂し気な表情で見つめていると、勇輝が不思議そうな表情で話し掛けてきた。

「守ちゃん…?どうしたの…?
…何か、元気無いよ…?」


「な、何でも無いよ…?
早く行こ…♪」

無理矢理、笑顔を作った佐々木がそう答えると、勇輝は少しだけ困った様に眉を八の字に下げ、笑顔で告げた。

「何か困った事があるなら、遠慮しないで言ってね?
僕で良かったら、いつでも力になるからさ?」

勇輝の台詞を聞いた佐々木から、今度は無理矢理では無く、自然な笑顔が溢れた。


「…うん、ありがと…♪」


『…やっぱり勇ちゃんは良いな。
可愛いし、優しいし…勇ちゃんが僕の事好きになってくれるなら…………………何でもするよ……』

…かなり重傷な、原&佐々木コンビだった。

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あきゅろす。
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