長編メイン小説【もっとX2強くなれ!!】
その58〜剥がれ落ちる仮面〜
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「……勇輝…オメーの勝ちだ…もう……………
…立てやしねぇ……」
屋上の床に、大の字になった高宮がそう言うと、同じ様に横たわる勇輝が言葉を紡いだ。
「……じゃあ…引き分けで………。
…じ、実は、僕も立てないん……ですよ…」
死力を尽して殴り合った二人は、最早指一本動かすのも億劫な程、疲れ果てていた。
しかし、そんな疲労を物ともせずに勇輝が口を開く。
「……司さん…。
こんな言い方は、卑怯なのかも知れないですけど……」
「…………?」
「……強姦された事なら……僕もあります……」
「…な!!…マジ…か…!?」
勇輝の発言に、思わず跳ね起きた高宮。
「…残念ですけど…本当です……」
「……ゆ、勇輝……」
高宮の勇輝を見る目が、驚愕したものから、徐々に憐れみを帯たものに変わって行く。
それを見た勇輝は、ニコリと微笑んで言葉を紡いだ。
「別に同情はしなくても良いですよ…?
…だって、そのお陰で前よりは強くなれた…つもりですから…」
「…どうゆう意味だ??」
勇輝も高宮と同じ様に、上半身を起こすと、ゆっくり語り出した。
「……まず、強くなろうと想う、きっかけを作ってくれたのは弟の一馬と、父さんです…。
悟さんと同じ様に、強姦されて自殺を計った僕に………二人は溢れる位の愛情を示してくれました。
それで、二人の想いに報いる為にも…強くなろうって決心したんです…」
「……そうか…」
「でも、それだけじゃないですよ?」
高宮が納得した表情を見せたが、勇輝は再び言葉を紡ぎ出す。
「…その後、僕はポン高で色んな友達や、先輩達に出会いました…。
……僕が以前より強くなれたのは、全部友達と先輩のお陰です……」
「………友達…か…」
勇輝の言葉を聞いて、ポツリと呟いた高宮の表情は、苦笑いしている様にも見えたが、寂しそうな雰囲気を漂わせていた。
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