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長編メイン小説【もっとX2強くなれ!!】
その35〜回想〜

勇輝が忠臣や硫介達と、通話を続けていた頃、高宮はある事を思い出していた。

『…相沢 勇輝…どっかで聞いた事があると思っていたが…そうか…夜行姫か……』

これまで高宮は、よく週末になると寮を抜け出し、知人の経営するバーへ飲みに行っていた。

ある日の事、そのバーのマスターは喧嘩っ早い高宮に、こう忠告をした。

――――――――――――――――――――。

「…司ぁ…。
これは、お前が鬼のよーに喧嘩ぁ強ぇって事を、十分承知した上での忠告だ…真面目に聞いてくれ…」


「…勿体付ける何て、らしく無いっスよ…何スか…?」

普段は、誰の言う事も聞かない高宮だが、このマスターだけは別格の様で、高宮はグラス片手に、マスターの目を見据えた。

「お前がこの街で、勝手気ままに暴れるのは良い…俺の知った事じゃねぇ………が、だ…。
鹿島 力、神保 忠臣、工藤硫介、鈴宮 孝之、須藤 道徳…そして、相沢 勇輝。
…コイツ等にだけは、極力関わるな…」


「…ソイツ等何者なんスか…?」


「鹿島って奴以外は、全員ゾッキーだ…」

その言葉を聞いた高宮は、低く笑うと呆れた顔でマスターを見た。

「クックックッ…。
マスター…俺がゾッキーなんかに負けるとでも…?」

不遜な態度でそう言ってのけた高宮を、マスターは真剣な表情で見据える。

「…どう思おうが、お前の勝手だ…。
…だが…夜行姫こと、相沢 勇輝には近付くな…」


「ソイツが一番強いんスか…?」

苦笑いが止まらない高宮。

そんな高宮を見て、この情報通なマスターは「やれやれ…」といった様な表情を作ると、言葉を紡ぎ出した。

「……それは違う…。
お前の事だから、逢えば必ず自分のモノにしたくなる筈だからだ…」


「随分とハッキリ言い切るんスね〜。
…そんなに可愛いんですか…?」

マスターの台詞に高宮は興味津々だ。

「…噂ではかなりの上玉みてぇだな…」


「…そりゃあ、是非一度御相手願いたいっすね…」

益々、好奇心を募らせる高宮にマスターは、告げる。

「……そりゃ止めとけ…。
夜行姫に手を出す奴は、さっき名前を挙げた連中を、全員敵に回す事になる。
なんせ夜行姫は、連中の宝物らしいからな…」


「…へぇ…ソイツぁすげぇや………」

表面上は、マスターの言葉を大人しく受け入れた高宮だったが、内心…

『…評判の猛者共の宝物か……面白ぇな…』

等と考えていた。

――――――――――――――――――――。

漸く通話が終わって、ソファーに突っ伏した勇輝を眺めながら、高宮は僅かに微笑んだ。


『…逢えば必ず自分のモノにしたくなる…か。
……あぁ…必ず、俺だけのモノにしてやるさ…』


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