長編メイン小説【もっとX2強くなれ!!】
その33〜長電話〜
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「ご馳走様でした」
「おぅ……」
お粥を平らげた勇輝は、両手を合わせ感謝を述べると、ソファーから立ち上がり、ベットルームへと向かおうとした。
そんな勇輝を高宮が引き止める。
「お、おい…。また寝ちまうのかよ…?」
「……へ?…いや、着替えようと思って…」
今、勇輝が身に付けているのは、高宮のTシャツと黒いスウェットのズボンだった。
言うまでも無く、身長158pと小柄な勇輝には、やたらと大き過ぎた。
「…このバカ…忘れたのかよ?
テメーが着てたTシャツは、アイツ等に襲われた時に破られただろうが…」
「あ…そうか……。
じゃあ、せめてズボンだけでも……」
再び寝室へ向かおうとする勇輝に、高宮は呆れた様な口調で言った。
「…ズボンなら泥で汚れてたから、クリーニングに出しといたぞ…」
「…え……!?」
突然勇輝の表情が青褪める。
「おい…どうかしたのか…?」
「……携帯……ポケットに入ってたのに…」
「……馬鹿かよ…。
ポケットの中に入ってた物なら、そこの上に置いてあるぜ」
そう言いながら、高宮が少し離れた棚を指差すと、勇輝は、
「……良かったぁ〜」
と呟きながら、棚から白い携帯電話を手に取った。
――カシャ。
「………げっ!?
…こ、壊れてるしぃ!!」
勇輝の携帯電話は、オープンしたにも関わらず、ディスプレイは真っ暗なままだ。
「……クックック…お前、本物のお馬鹿さんだろ…?」
高宮は、勇輝の事を再三に渡り、お馬鹿さん呼ばわりすると、言葉を続けた。
「そりゃあ、電源が落ちてるだけだ…」
「…え…?…そーなんですか…?…何で…?」
いきなり、キョトンとした表情になる勇輝に、高宮が説明を始めた。
「…昨日は大変だったぜ…お前の携帯に、薫達から代わる代わる、引っ切り無しに着信が入ってよ…。
…あ…そーいや、ついさっき、何だか分からねぇ、ガラの悪ぃ奴からも掛って来てたぜ?
……で、あんまり煩ぇから電源を切ったって訳だ……分かったか…?」
「そ、そーなんですか!?」
高宮の説明を聞き終えた勇輝は、大急ぎで携帯電話の電源を入れた。
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それからの勇輝は大忙しだった。
兎に角、何事も無かった事を皆に伝える為に、大急ぎで電話を掛けまくる勇輝…。
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