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長編メイン小説【もっとX2強くなれ!!】
その32

「……ああ、当然だ…」

悲しい哉、高宮は

『勝負に勝てば、勇輝を恋人に出来る…!!』

と、勘違いしていた。

その証拠に表面上、澄まし顔を取り繕った高宮だったが、その頬は微妙に緩んでいた。

そんな高宮の鼻先へ、勇輝は自信に満ちた表情でテーブルに身を乗り出すと、左手の小指を差し出し、

「じゃあ約束ですよ♪
指切りげんまん、しましょ…?」

と宣うた。

『チッ…ガキじゃあるまいし…。
……でも…勇輝がやると可愛いじゃねぇか……不思議とウザく無ぇな…』

等と思いながら、高宮は差し出された勇輝の小指に自分の小指を絡め、わざと不機嫌そうに言葉を続けた。

「これで良いのか…?」


「はい!!…じゃあ行きますよ…?
ゆーびきーりげーんまん、嘘ついたら針千本のぉ〜〜ます!!ゆ〜びきったっ!!」

歌が終わると、勇輝は絡めた小指を素早く解き離した。

勇輝が歌っている間、

『ガキじゃあるまいし』

と思いながら、小指を見つめていた高宮だったが、瞬時に離れて行ってしまった勇輝の小指の温もりを、柄にも無く寂しく思ったのだった。

そんな高宮の心中など、当然の事、勇輝には察する事など出来る筈も無い。

儚気な表情で、自分の左手の小指を見つめる高宮を尻目に、勇輝は笑顔でお粥の残りに、手を付け始めた。


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あきゅろす。
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