長編メイン小説【もっとX2強くなれ!!】
その30〜約束〜
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15分後―――――。
高宮は、トレイの上に小さな土鍋を乗せて、リビングへと帰って来た。
「物足りねぇかも知れねぇが、今はこれ位にしておけ…」
熱を出して丸一日寝ていた者に、いきなり固形物や大量の食事を採らせるのは、胃に悪かろう。
…と判断した為、高宮が作って来たのは、梅干しの乗ったお粥だけだった。
「あ、ありがとうございます…頂きます…」
勇輝は高宮の顔を、上目使い気味にチラリと盗み見ると、料理に手を合わせて食べ始めた。
『あ。…美味しい…♪』
慣れない、左手での食事に苦戦しながらも、箸を使わなくて済む献立に、勇輝は内心感謝していた。
すると、高宮は勇輝の向かい側のソファーに腰を降ろし、唐突に口を開いた。
「お前に言っておく事がある…」
「…?…はい…?」
レンゲを、口許に運ぶ作業を中断した勇輝が、キョトンとした表情で高宮を見つめる。
それを見た高宮は、
「食べながらで良いから聞け。
…お前はただ、返事をするだけでいい…」
と言いながら、煙草に火を点けた。
真剣な表情でコクコクと頷く勇輝。
すると、紫煙を吐き出しながら、高宮が言葉を紡ぎ出した。
「…まず、俺はお前と馴れ合うつもりは無ぇ…」
「………はい…」
「…だから当然、お前とお友達に成るつもりも無ぇ…」
「……はい…」
この機会に、過去の確執を清算出来れば…と思っていた勇輝は、自分の甘さを知った。
そして高宮は、お構い無しに言葉を続けた。
「…右手の怪我が治りしだい、サシで俺と勝負しろ……」
「……はい…」
少し物憂げな様子で頷く勇輝。
それを確認した高宮は、吸い欠けの煙草を灰皿に押し付け、勇輝を見つめながら言葉を続けた。
「……そして、俺が勝負に勝ったら…お前は俺のものになれ…」
「…………はい。
…って…はい!?
…それって、どーゆー意味ですか!?」
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