長編メイン小説【もっとX2強くなれ!!】 その26〜ココはドコ…?〜 ―――――――――――――――――――――――――――――。 『ん…?ここはドコ…? …私はダレ…?』 目を覚ました勇輝の目に、高級ホテルのスウィートルームの様な光景が映り込んだ。 「…ん!!……よっと…!!」 やたらと大きく、やたらと柔らかい、キングサイズのベットから降りた勇輝は、フラつく足取りで床に立つと、恐る恐るドアを開いた……。 『むむむ…どーやら誰かの部屋みたいだ……。 ひょっとしたら、州慈さんの部屋かな…?』 音を起てない様、静かにドアを開いた勇輝は、何故か忍び足で部屋に入って行った。 すると…… 「…やっと目を覚ましやがったか……」 ―――ドキっ!!!! 「ひゃあ!!!!ご、ご、ごめんなさい!!!!」 不意に声を掛けられた勇輝は、死ぬ程驚いて何故かその場で土下座していた…。 「…何でいきなり土下座なんだよ…」 声の主は、面倒臭そうに黒いソファーから身体を起こすと、ワインレッドの長髪を掻き上げた。 目を丸くして固まった勇輝が、辛うじて言語を発する。 「せ…生徒会長…さん? ま…まさか…僕って拉致られてしまった…みたいな……!?」 勇輝の言葉を受けた高宮は呆れ顔だ。 「…テメー、貞操の恩人に向かって何て言い方しやがんだ…。 全く…礼儀がなってねぇな…」 「お…恩人……?」 ―――――――――――――――――――――。 「……ってゆーワケだ。 つまりオメーは俺が助けなかったら、奴らに強姦されてたって事だ…。 ちょっとは感謝する気になったか…?」 口と目を大きく開いた勇輝は、こんな事を考えていた… 『ケンは、血も涙も無い悪魔将軍みたいに言ってたけど、結構良い人じゃない…ちょっとビックリだよ…』 「オイ…御世話になったら何か言う事が、あるんじゃねぇか…!?」 「……はっ……!! あり、あり、ありがとうごぜぇますた……!!」 心の旅路から急遽帰還した勇輝が、御奉行様に出会ったお百姓さんの様に、慌てて土下座をすると、高宮は先程までの仏頂面を崩し、小声で笑い始めた。 「…クックッ…だから何で土下座なんだよ…(苦笑) 普通に『ありがとう』って言えねぇのかよ…。 大体『ますた』って何だよ…噛み過ぎだろうが……クックックッ…♪」 「………////////」 顔を真っ赤にして俯く勇輝…。 『…ちょっと噛んだだけなのに……。 もし和美さんが居たら、硫ちゃんみたいに、頭をスリッパで叩かれてるよ…!!!!』 そんな事を考えながら、勇輝が頬を膨らませて上目使い気味に、ジト目で睨んでいると、高宮はソファーから手を伸ばし、勇輝の頭をグリグリと撫でた。 「フフフ…そう怒るな…」 「……別に怒ってないですよ…!!」 本当は少し怒っていた。 何せ、大嫌いな筈の相手に助けられた上、お礼を言っては少し噛んだだけで馬鹿にされ、最後は完全にお子様扱いだ。 高宮はこの短時間の間に、勇輝の不機嫌スイッチをほぼ全て押していた。 [*前へ][次へ#] [戻る] |