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長編メイン小説【もっとX2強くなれ!!】
その21〜かくれんぼ…その結末〜

――――――――――。

その頃勇輝は、高熱と睡魔を相手取り、懸命に戦っていた。

『…あぁ…もぅ…目を閉じちゃいたいよぅ…。
目を閉じれば…楽に…』

熱にうなされ、徐々に瞼を閉じようとしていた勇輝の鼻孔を、州慈の上着に染み付いた、清涼感のある香水の匂いがくすぐった。

『ダメ…だ…。
寝ちゃったら…いざって時に脱出、出来ない…。
州慈さんだって…頑張ってるのに…僕も…耐えなきゃ……!!』

そう考えた勇輝は、包帯の巻かれた右手を、思い切りコンクリートの床に叩き付けた。


―――ゴッッ!!


「〜〜〜〜っ!!!!」

予想以上の激痛に、一人でのたうち回る勇輝。

『いっっったいし!!
…でも、これで暫くは眠くならないかも…』

一頻り痛みに悶えた勇輝が、そんな事を考えていると、扉の向こうから数人分の話し声と、階段を降りて来る足音が聞こえてきた…。

『…つーかこんな所に隠れてる訳無いっしょ〜』

『だって、一応見てこいって言われてっしよ〜』

『あ〜早く親衛隊の子達を食いて〜』

瞬時に追手だと判断した勇輝は、重い身体を引きずり、明かり取りの窓を開くと、自分の身体を窓枠に捩込んだ。


―――ガチャ!!


「あ!!居たぞ!!」

「テメー!!逃がすかよ!!」

男達は勇輝を捕まえようと、小走りで明かり取りの窓へと駆け寄ったが、タッチの差で間に合わず、勇輝の足首を捕えようとした男の手は空を切った。


―――ドサ。


明かり取りの窓から少し下の草むらへ、滑り落ちる様に着地した勇輝の耳に、男達の蛮声が届く。

「おい!!体育館の裏だ!!
裏に回れ!!!!」


『い、急いで逃げなきゃ……!!』

ヨロヨロと力無く立ち上がった勇輝は、懸命に駆け出そうとしたが二、三歩進んだ時点で、地面に膝を付いてしまった。

『じ…地面が…グニャグニャするぅ……。
あぁ…気のせいかな………沢山の人の声が聞こえる…』

高熱に因る幻聴かと思った勇輝だったが…残念ながら気のせい等では無かった…。

その声はワラワラと集まって来た、追手達のものだったのだ。


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あきゅろす。
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