長編メイン小説【もっとX2強くなれ!!】
その10
一頻り能美をからかった勇輝は、
「ちょっと着替えて来ますね♪」
と、だけ言い残し、自室へと引っ込んだ。
―――――――――。
そして、十分程経つと、勉蔵さんに変身した勇輝がリビングへと帰って来た。
「…勇輝君…まさかとは思いますけど、どこかへ出掛けるつもりじゃ…無いでしょうね……?」
先程までの優し気な微笑みを打ち消し、勉蔵さんモードに入った勇輝に、厳しい視線を送る能美。
「あ、朝御飯を食べに、ちょっと食堂まで……行こうかな〜?
…なんて、思ってみちゃったりして……だ、ダメですか…?」
「ダメです。
それに今日から三日間、食堂はお休みですよ?」
勇輝のお願い事を、即刻却下する能美。
どうやら、根がクソ真面目な能美には、牧村や十朱達の様な甘さは無い様だ。
しかし、それでもめげずに食い下がる勇輝。
「じゃあ、朝食前の軽いお散歩に…「ダメです」うぅ…じゃあ、コンビニに…」
しつこく外出の許可を取ろうとする勇輝の態度に、不信感を抱いた能美は目を細めて問い正した。
「…勇輝君、正直に答えて下さい。
ひょっとしたら君は、一人で会長との事に、ケリを着けに行こう、と思ってませんか…?」
「…ぅ。………はい…」
申し訳無さそうに俯く、勇輝の返答を聞いた能美は、ため息を吐くと、諭す様に言葉を紡いだ。
「勇輝君…君が会長とのイザコザを煩わしく思う気持ちも、分からないではありません。
…が、会長は君が思っている程、弱くはありませんよ…?」
「え…?だって……」
食堂での一件を思い出した勇輝が、反論しようとするも、能美は無言で片手を挙げてそれを制した。
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