長編メイン小説【もっとX2強くなれ!!】 その3 ―――――――――――――――――。 話は、30分程前に遡る。 場所は生徒会室。 「今回のレクリエーション欠席者の名簿です…」 生徒会の会計係から、優雅に紅茶を楽しんでいた十朱へ、一枚の書類が手渡された。 「ありがと…」 事も無さ気に書類を受け取り、サっと目を通した十朱の表情に、戦慄が走った。 「ちょ…ちょっと待って…これは一体…どうゆう事なの…!?」 「どうしたのですか…?」 問われた会計係は、十朱とは対照的な無表情のまま、そう応えた。 「どーしたも、こーしたも無いよっ!! 司の親衛隊のほとんど全員が、病欠になってるじゃない!! しかも、司本人まで病欠になってるし…!! どーゆー事なの!?」 「さあ…?私に聞かれても困りますが…。 何でも、その名簿に書いてあるほぼ全員が、昨日の夜の段階で欠席を申し出て来たそうですよ…?」 「昨日の夜の段階って…」 十朱が深刻な表情で考え込んでいると、会計係は銀色に輝く頭髪を掻き上げ、十朱に告げた。 「…どうやら、二年の相沢 勇輝君の欠席の連絡があった直後に、届け出が殺到した様ですね…」 「え…?」 驚いた表情で名簿を見直す十朱の視界に、勇輝の名前が映し出された。 「ゆ、勇輝…怪我の為欠席って…まさか…」 途端に青褪めた表情になった十朱に、会計係がもう一枚書類を手渡しながら、付け加える。 「…どうやら、犬に右手を咬まれた様ですね…。 まぁ、医師の診断書を見る限りでは、心配は無さそうですが…?」 十朱を落ち着かせようと、言葉を紡いだ会計係だったが、十朱は診断書を一瞥すると、すぐに生徒会室を飛び出して行った。 そして、生徒会室に一人残った会計係は、眼鏡のブリッジを中指で軽く押し上げ、薄く微笑むと、 「フフ…私も、そろそろ勇輝君に逢いに行きましょうか…」 と呟き、立ち上がった。 [*前へ][次へ#] [戻る] |