長編メイン小説【もっとX2強くなれ!!】
その34
目の前で微笑みながら、僕に会えなかった日々の寂しさを語る一馬……。
そんな一馬の様子に、僕はある確信を得た。
『大丈夫…あの日の事は誰にもバレて無い』
「勇にぃ!!勇にぃの事イジメた奴って誰!?
俺が速攻で、生まれてきてごめんなさいって言わせてやるから!!教えて!?」
駄目だ…僕が男に強姦された何て知ったら、一馬は何をするか分からない…絶対に秘密にしなきゃ。
「ううん…僕なら大丈夫だから…気持ちだけ…ありがとう♪」
そう言って、笑顔を向けると、一馬は顔を真っ赤にして…
「勇にぃがそう言うなら、今回だけは…見逃してやる事にする…」
と、言いながら溜め息を吐いた。
「そう言えば父さんと母さんは?」
「うん、父さんはついさっきまで居たんだけど、仕事に戻ったよ?
でも、看護婦さんが連絡したから、トンボ帰りですぐ戻って来ると思う。
…母さんは…知らないけどさ…」
喋りながら、一馬は病室の床に敷いてある、簡易寝具に寝転んだ。
「勇にぃの笑顔を見たら、安心して眠くなっちゃったよ〜」
よく見ると、一馬の目の下には濃いクマが出来て居た。
胸がチクリと、痛む…。
僕には、こんなに僕の事を大切に想ってくれる弟が居るじゃないか…。
やっぱり、死のうなんて考えたのは大間違いだ…。
……僕は馬鹿だ…。
「一馬…ありがとう」
微笑みながらそう言うと、一馬も微笑みを返しながら近付いて来て、僕の頭に軽く口付け、
「勇にぃの為なら世界中、何処にでも駆け付けますよ♪」
と、言ってくれた。
一馬の優しさが嬉しくて………。
一馬に、何も返してあげる事の出来ない自分が、情け無くて……。
涙が込み上げて来た。
…強く、強くなりたい…。
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