長編メイン小説【もっとX2強くなれ!!】
その28〜神出鬼没〜
勇輝が携帯電話を開き、発信者を確認した。
――そこには【薫先輩】の文字が表示されていた。
『どうしたんだろ?』
【便りが無いのは良い便り】と言う言葉を、全く信じていない十朱からの着信だった。
不思議に思いながらも牧村に断りを入れ、通話ボタンを押す勇輝。
「もしもし、相沢で………いや、全然大丈夫で………ごめんなさい……。
でも、ケンって良い人ですよ?
今から晩御飯を御馳走してくれるって……え?
食堂ですけど……ええ!?そーなんですか!?すぐ開け…」
―――ガチャ!!
「勇輝っ!!」
「げっ!!副会長っっ!!何で!?」
「薫先輩っ!!…って何で開くの!?」
突然部屋に乱入して来た十朱の姿に驚愕する二人。
特に勇輝の電話の相手が、十朱だと知らなかった牧村の驚き方は凄まじい。
「ななな、何で副会長がここに!?」
「薫先輩!?…ひょっとしたら鍵空いてましたか!?」
驚愕する二人の顔を見比べた十朱が、勇輝を抱き締めた。
「良かったぁ〜連絡が無いから、牧村に犯されたのかと思った……」
「薫先輩ぃっ…く…苦しいですっ…」
「ああ…ごめんね?」
腕の力を緩めた十朱に、勇輝が質問した。
「あ、あの…か、鍵空いてましたか!?」
「ん〜ん?これ使って勝手に開けたんだよ?ここってオートロックだし?」
しれっとした顔でそう告げる十朱の手には、金色に光るカード。
「はい…?」
「ああ…このカードってマスターキーだからさ、学院中ドコの鍵でもこれ一枚で開くんだよ?」
『生徒の部屋の鍵まで開くんだ…プライバシーも何も無いなこりゃ…』
放心している勇輝を尻目に、今度は牧村が話掛けた。
「副会長…?
勇輝と知り合い…なんですか?」
聞こえて来た牧村の声に対し、さっきまで勇輝に向けていた微笑みを消して、十朱は氷の様な無表情を牧村に向けた。
「あ。居たんだ?
…そーいえば勇輝と食堂に行くんだって?
悪いけど遠慮してね?
勇輝は今から、僕の部屋で夕飯をとる予定だからさ…」
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