長編メイン小説【もっとX2強くなれ!!】
その26〜同室者、牧村 県〜
『牧村君を殴って少しはスッキリしたし、ちょっとした事故だと思う事にして、荷物を片付けないとな…』
既に時刻は夕方の五時。
早く荷物をほどかなければ、落ち着いて寝る事も出来ない。
そう思い、作業に取り掛かった勇輝だったが、30分程すると作業を中断する羽目になってしまった。
部屋のドアをノックする者が現れたからだ。
――コンコン。
「どちら様ですか……」
聞かなくても同室の牧村氏に決まっている。
「俺だよ…牧村だよ…さっきは悪かった…。
ちゃんと謝りてぇんだ…開けてくんないか…?」
ふぅ〜。と、ため息を吐いた勇輝だったが、その頬は微かに緩んでいた。
「鍵は開いてるから、入って良いですよ?」
―――ガチャ。
今度はちゃんと服を着て現れた牧村。
顎に出来た青痣が痛々しい。
「ごめん…さっき出てったセフレに言われて気が付いたんだ…今日から同室者が来るって…。
…忘れてた…マジでごめんな!!」
勇輝の顔の前で両手を合わせ、謝罪した牧村に勇輝が口を開いた。
「段ボール箱が運び込まれていたのを見ても、気が付かなかったんですか?」
「いや、まだ始業式まで日があったから…同室者が来るのは2、3日後…かな〜と、思って…つい……」
「……はぁ…分かりましたよ……。
その代わり二度としないで下さい…ね?」
素直に謝罪している者を、いつまでもグチグチと追い込む趣味の無い勇輝は、少し困った様な、呆れた様な表情で牧村を許した。
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