長編メイン小説【もっとX2強くなれ!!】
その22〜教師は大変だ〜
「高山先生、それは良いですけど、勇輝の部屋は何処になるんですか…?」
放っておくと、いつまでも無駄話が続きそうだと感じた十朱が、要件を切り出した。
「あ。そうだったな…え〜っと…2058号…あちゃ〜牧村と同室かぁ〜」
「えぇ!?何とかならないんですか!?
彼は生徒会指定の問題人物ですよ!?」
勇輝の同室者の名前に、落ち着きを無くす十朱。
勇輝には、勿論何の事だか解る筈も無い。
「その牧村って人、不良なんですか?」
「う、う〜ん…不良の方がまだ良いね…」
「????」
相変わらず不思議そうな表情の勇輝に、高山が渋々説明を始めた。
「その牧村って奴は、不良では無いんだが…何て言うかその…節操が無くてなぁ…。
取っ替え引っ替え、生徒を部屋に連れ込んじゃあ、ヤリまくってんだよ…」
「何をですか…?」
「いや…その…sexを…」
「え゙…??」
突然の言葉に固まってしまった勇輝を、高山が必死にフォローする。
「あ、相沢!!大丈夫だ!!
牧村の奴ぁ【超】が付く程の面食いだから、お前さんなら心配要らねぇ…大丈夫だ!!」
普通なら馬鹿にしている、としか受け取れない高山の台詞だ。
すると、不機嫌顔の十朱が無言で勇輝の眼鏡を取り払い、カツラの前髪を後ろへ持ち上げ口を開いた。
「高山先生…これでも勇輝の貞操は安全ですか?」
ニッコリと、黒い微笑みを見せる十朱。
「な、なんじゃそりゃ…聞いてねぇぞ…」
「生徒会役員の特権って事で、何とか僕と同室には出来ませんか?」
十朱はニッコリ微笑んだまま、高山に問うたが…
「そりゃ駄目だ、そんな事したら親衛隊のジャリ共が、嫉妬に狂って何やらかすか分かったもんじゃねぇ…」
即刻却下された。
暫く考え込んだ二人だったが、良い知恵が浮かばなかった様で、高山が諦め気味に切り出した。
「相沢…すまんが自室に居る時も、その変装は続けてくれ…。
それでもバレた時は即、牧村をKOして逃げろ…。
分かったな…?」
二人の様子から、何と無く事態の深刻さを感じ取った勇輝は、とりあえず頷いておいたが、実は全くお気楽な事を考えていた。
『そんなにモテモテの人が、僕なんか相手にするワケないし。
確かに襲われた事はあるけど…僕なんかを襲うって事は多分、全然モテ無い人なんだろうし、心配する事無いと思うけどな〜?』
とりあえず今すぐ対処出来る問題では無い、と判断した高山と十朱は、勇輝自身の自己防衛力に賭ける事で合意した。
「はぁ……相沢…とりあえず荷物は部屋に運んであるから…くれぐれも気を付けてな…」
そう言うと、高山はカウンターの奥の自室へ引っ込んだ。
『とりあえず、始業式前の職員会議で議題に掛けてみるか……いや、そんな事したら『相沢は可愛い』って宣伝する様なモンか……。
教師の中にも怪しいのが多いからな…はぁ……めんどくせぇ…。
とんだ問題児が現れたもんだ…』
―――教師も大変だ。
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