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長編メイン小説【もっとX2強くなれ!!】
その21〜寮監督、高山六郎〜

『…軽く想像はしてたけど…また、凄い寮だなぁ』

十朱に連れられて、学生寮までやって来た勇輝は、入口で大きくため息を吐いた。


『どこかの国の要人が泊まってそうだよ…』


無駄に広いエントランス、天井は吹き抜け、内装は総大理石、壁には高級な絵画。
安っぽい庶民的な文化を一切排除しよう、という施工主の意図が、勇輝にヒシヒシと伝わってきた。

エントランスの脇、エレベーターホールへと続く通路の手前には、高級ホテルの受付の様な、小さく美しいカウンターがある。

カウンターの中は無人だ。

「寮に帰ったら、このカウンターで受付をするんだよ♪」

十朱はそう言うと、カウンターに備え付けてあるチャイムを鳴らした。

――チリーン。

するとカウンターの奥にあるドアの向こうから、ガタゴトと音がしてがチャリと、ドアが開いた。

「よぉ。十朱じゃねーか」

ドアから出て来たのは、白いジャージ姿の男性だった。

歳の頃30歳位だろうか、黒髪角刈りで体格はかなり良い。

「この人が寮監督で高山六郎先生、通称ロクさん」


十朱が白いジャージの男性を紹介すると、勇輝は一歩前に出てペコリと会釈した。

「今日からお世話になる、相沢勇輝です!!
宜しくお願いします♪」


「ああ。お前さんが転入生の相沢君かい。
話は理事長から聞いてる、俺は寮監督の高山だ…宜しくな!!」


そう言うと、高山は握手を求めて勇輝に右手を差し出した。


「はい!!こちらこそ♪」


高山の手を握る勇輝。

その瞬間、高山は少し驚いた様に口を開いた。


「お前さん…おチビさんでガリ勉ルックな割に、良い拳してんな?
何か格闘技でもやってたのかい?」


高山の台詞に驚く勇輝と十朱。


「いや、格闘技なんて大それたものじゃ無いんですけど…」


「まぁ。そんな感じだな…そいつは格闘技やってて出来る拳ダコじゃねぇな…お前さん…喧嘩屋かい?」


そう言われた勇輝は、慌てて首を横に振った。


「ち、違いますよぉ!!
そんな用心棒みたいな事はしてませんよ!!」


「でも、苦手じゃねーんだろ…?」


「…う…(バレてるし…)。
ま…まぁ、たしなむ程度には…」


恥ずかしそうに俯く勇輝とは対照的に、高山は嬉しそうだ。

十朱は小さく開いた口を、手で押さえたまま固まっている。


「まぁ、ウチは坊っちゃん学校だから、モメ事は極力控えてくれよ?
元気が余ったら空手部に遊びに来い、俺が顧問やってんだよ」


「え?そーなんですか?」


勇輝の疑問に、先程まで固まっていた十朱がやっと口を開いた。


「高山先生は、空手の亜細亜大会で優勝した事もあるんだよ?
だから、この学校では空手部の顧問なの」


「あと、授業は英会話担当だ…」


「え、英会話…!?」


高山の受け持ち学課の意外さに、驚愕する勇輝。


『てっきり体育の先生かと思った…』


すると、呆れた顔で高山が言う。


「相沢…口に出てるぞ?」


「はっ!!…ごめんなさい……/////」


耳まで真っ赤にして頭を下げる勇輝の背中を、高山はバシバシ叩きながら笑った。


「オメー、面白ぇなぁ!!
ここの生徒は余計なプライドばっかり高くて、つまんねぇ奴ばっかで退屈してたんだよ!!
明日からが楽しみだ!!
宜しくな!!相沢!!」

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