授業開始一分前の攻防(政宗:学パロ)
「おはよう稲ちゃん、政宗。」
朝同じクラスの稲と政宗に挨拶する。
「貴様宿題やってきたか?」
隣の席の政宗が早速宿題を見せろと言ってきた。
「また!いけません!ご自分でおやりなさいませ。」
「なんじゃ稲、貴様すぐそうやってわしの邪魔をする。紗耶が見せると言っておるのだから、良いではないか!」
「いや、言ってないから。見せる義理はないもの。」
「なにぃ?素直に見せればいいのじゃ!馬鹿め!」
そう言って政宗はノートを奪おうとするから、私は取られまいとノートを抱いて背を向ける。
「貸せ!」
「嫌だ!」
政宗は後ろから抱きしめるように覆いかぶさりノートを取ろうとする。
「政宗殿!婦女子に破廉恥です!おやめなさいませ!」
稲の制止も聞かず政宗はさらに私に密着する。
背中に政宗を感じてドキドキした。
「は、離れて政宗。」
「貴様がノートを寄越したら離してやる。」
意地悪く鼻で笑いながらも、楽しげな政宗。
「本当は宿題やってきてるんでしょ!」
「さて、どうじゃろうな。」
わざとだ。ノートを取る気なんかない。
確実に私をからかってる。
「政宗いい加減に…」
振り返るとすぐ真横に顔があって、さらに鼓動が早まった。
綺麗な瞳にドキドキが止まらない。
「紗耶…」
政宗の手が私の頬に優しく触れて、顔が近づいてくる。
「ちょっ!政宗!まさか…やだ!」
キスされる!
こんなところで彼氏でもない人にファーストキスを奪われてなるものか!
必死に逃げようとしたけどきつく抱きしめられ逃げられない。
「政宗殿!お止めなさい!」
稲の止める声と周りから囃し立てる声が聞こえ、くちびるが触れそうな瞬間チャイムが鳴る。
それと同時に『がこん!』と鈍い音がした。
「いっ!」
政宗が声をあげ、自分の席に引き戻される。
私はほっとして息をついた。
「政宗…ここをどこだと思っている。」
低い声が響く。
「いってぇ〜。」
涙目の政宗が見上げたのは担任の謙信先生。分厚い本を片手に持っていた。その本の角で殴られたみたい。
「ここは教室だ。公衆の面前で嫌がる女性になんたる不義。後程職員室へ来なさい。」
「政宗、あと一歩だったな。次も頑張れよ。」
「うるさいわ馬鹿め。」
周りの笑い声に政宗は照れながら答えていた。
「紗耶ちゃん危機一髪でしたわ!」
稲が心配そうに私の手を握り政宗を一睨みした。
「この破廉恥男」
稲に言われふんと鼻を鳴らす政宗と目が合う。
「次は未遂では終わらぬぞ。」
ニヤリと政宗は笑い、私は頬を染めた。
授業開始一分前の攻防
今朝はギリギリ私の勝ち。
やはり政宗は迫りまくります。好きになったら一直線!
学パロ書いてて楽しいです。
お題『風雅』様
授業開始一分前の攻防
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