いちごみるく味のキス(三成)
「あ〜。冷た〜い。」
「暑い日にこれはいいな。」
「小豆の甘さが引き立ちますね。」
「………お前達。ここがどこか分かっているのか。」
縁側に腰掛けている三人に声をかけた。
「分かっておる。三成の執務室だ。」
さらりと兼続が言ってのける。その横で紗耶と幸村が頷いていた。
「分かっているのなら何故俺の部屋で氷など頬張っている。」
そう、奴らは俺の部屋でかき氷を食べているのだ。
自分達の部屋で食べたら良いものを何故か集まって来た。
わいわいと騒いでうるさい。
「だって三成さんの部屋が一番涼しいんだもの。」
氷を一口含んで笑った。
紗耶だけなら構わない。
しかし紗耶が二人に挟まれているのが気に入らない。
兼続も幸村も紗耶が俺の部屋で食べると言ったからついて来たに違いないだろう。
兼続と幸村、そして俺は義の誓いをたてた大切な友であり、同じ女を愛する者。
友だからこそ負けたくない。
「ねっ、兼続さんのは何味?」
「宇治金時だ。」
「美味しそう〜。」
「食べるか?ほら。」
兼続がひとさじ掬った氷を紗耶の口に差し出し、それを戸惑う事なく口にした。
「美味しい〜。」
「そうであろう。それには私の愛をいっぱいいれてあるからな。」
兼続、気持ちの悪い事を言うな。紗耶がひいているぞ。
「紗耶殿、私のもいかがですか?」
「わぁいいの?」
「どうぞ。」
同じく差し出された氷を口にいれた。
「小豆おいしいね〜。」
幸村、鼻の下がのびているぞ。
全く馬鹿な奴らだ。
そう思いながらも紗耶の笑顔に俺の顔も緩む。
「ね、三成。三成も食べたいでしょ。冷たくて美味しいよ。」
ほらと匙を差し出した紗耶。
匙の上にはピンク色の氷。
「ほらほら〜。涼しくなるよ。」
「うるさい奴。」
俺は立ち上がると紗耶の元へ向かった。
「やっぱり食べるんだ。はいあーん。」
そんな満面の笑みを俺に向けるのなら
「!?」
お前ごと味わってやる。
紗耶が差し出した匙が滑り落ちた。
「三成!いきなり口づけとは不義だぞ!」
「三成殿!」
幸村と兼続が騒いでいるがそんな事どうでも良かった。
「いちごみるくか。お前みたいだな。」
白い肌に赤い頬がかき氷と同じ。
「三成のばか…。」
そう言ってそっぽを向いたお前のキスは甘いいちごみるく味がした。
三成さん不義です。
まずこの時代にいちごみるくはありません。
ごめんなさい。
そして兼続さん幸村さんごめんなさい。
でもいきなりのキスっていいなぁ〜。
三成さんお願いします!←土下座
夏が終わりそうなので急ぎました。
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