小指と小指を繋いで(幸村)

「そんなぁ…」

「すみません。」

がくりと肩を落とした私に幸村は申し訳なさそうに頭を下げた。

明日は久しぶりに幸村と丸一日一緒に居られる。
どこに行こうか、何をして過ごそうか何日も前からワクワクしていたのに、急に駄目になってしまった。

「どうしても駄目なの?」

「はい。秀吉様のお供をしなくてはいけないのです。」

私はため息をついた。


こうして予定変更になるのは何度目だろう。
急な軍議だったり、近隣諸国へ使いにされたり。

幸村は武将としてなくてはならない存在だし、人柄も良いのだから秀吉様に気に入られてる。
それは幸村の今後を考えても良いことだって分かってるんだ。でもたまには二人きりで過ごしたい。



「…分かった。じゃあまた今度。」

そう言うしかないよね。
だって幸村も辛そうな顔してる。
それって幸村も残念だって思ってくれているって事だもの。

「今度は絶対だよ。」

「分かりました。約束しましょう。」

そう言うと幸村は小指を立てた手を私に見せる。

「ゆびきり?」

私がそう問えば幸村はにこりと笑い、幸村の小指と私の小指とを絡める。
「私が、次に約束を破る事があれば」

「針千本飲んでくれるの?」

「それは嫌です。」

くすりと笑う。

「約束を破る事があれば…」

さっきまでの笑顔が消え急に真面目な顔をしている。

「幸村?」

「あなたを私の妻にします。」

その言葉を聞いた瞬間、体中の血液が沸騰するんじゃないかってくらい熱くなった。
そしてその熱は幸村が見つめる私の顔に集まってくる。


絡んだ小指に少し力を感じて、胸の鼓動がうるさくて。



「ゆ幸村?」

「駄目ですか?」

私はブンブンと首を横に振った。

「じゃあ約束。ゆびきった。」

小指を離した途端、幸村はギュッと私を抱きしめる。



たくましい胸に体を預ければ聞こえる幸村の鼓動。

ドキドキと少し速い音は私と同じ。



「紗耶愛しています。」

耳元で囁く声はとても甘くて私はいけない事を考えてしまいそう。


『幸村、今度の約束も破ってくれないかな。』













すみません。一度しか名前変換ないですね。

何となく幸村さんで書いてみました。一番あくがなくて良いかな…なんて。

兼続「紗耶何だか機嫌良いな。」

紗耶「明日、幸村さんとデートなんです!」

三成「明日は秀吉様と遠乗りの予定だぞ。ずいぶん前から決まってなかったか?」

幸村「ぶっ!(飲んでいた茶を噴いた。)」


幸村さんはわざと予定のある日に約束を入れたのでした。



「私もあなたと共に過ごしたいのです。結婚して下さいね。」と言って頬を赤らめたり。


お題配布『静夜のワルツ』様



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